恋の妙薬
このごろ集団見合いのような番組が時々放送されています。年頃の女の人がいない過疎地や島で、そこに住む二十代から五十代あたりの男性と、全国から応募してやって来た女性達を対面させ、お付き合いのきっかけを作るという、昔の「フィーリングカップル5対5」を大掛かりにした現代版集団お見合いです。
ヤラセや演出もあるでしょうが、みているとウマが合うと言うのか、そりが合うと言うのか、スッとゆくカップルもあれば、ごめんなさい、もあります。男女間の機微は難しい。
そこで落語の世界では便利なものが登場します。好きになった娘さんをモノにせんと、喜六が甚兵衛はんに尋ねて教えてもらった恋の妙薬が「いもりの黒焼」。落語では娘さんに振りかけたつもりが、近くの米俵に黒焼がかかってしまい、歩き出した米俵に追いかけられるという話です。
大阪の高津神社の近所に有名な黒焼屋さんがあったという事は、桂米朝さんの落語で知っていましたが、岡本一平の全集にその探訪記が載っていました。
それによると二軒あったそうです。その一軒が天満屋佐兵衛さんの店で、いもりの黒焼は一円だったそうです。買って包みを開けると中身は雄と雌、別々に包装。黒い粉末。本来は乳母に子供がなつかない時に使ったもので、乳母に雄を持たせ子供に雌を持たせるとたちまちなつくらしい。又、夫婦仲悪しき時にも男が雌、女が雄を持つと効果てきめんとか。会社の同僚などにも効くと書かれてあります。
一円で効けば、当時としても安いものですね。
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2012年6月9日 | コメント/トラックバック(0) |
芥川龍之介とラサ・スケートリンクの関係
ウィンタースポーツと言えばスキー、スケート辺りが代表的ですが、私はスキーはした事がありません。大阪市内で生まれ育った庶民の子供としては、スケートが身近でした。
大阪人お馴染みの場所に、淀川沿いのラサ・スケートリンクがありました。何回か滑りに行った事がありますが、「ラサ」とは不思議な名前やなと言う印象が残っていましたが、先日思わぬところからその名前が飛び出しました。
岩波書店のPR雑誌「図書」の1995年に出た芥川龍之介特集号。その中に恒藤敏彦と言う人が書いた「芥川龍之介と恒藤恭」というエッセーがありました。芥川に詳しい人には、恒藤恭の名前はお馴染みですね。龍之介の一高当時の最大の親友、恒藤恭さん。その息子さんが書いた回想文です。
恒藤恭さんはもともとは井川姓であり、大正5年に結婚して入り婿として恒藤姓になったと書いてあります。ここまでは何となく知ってはいたのですが、その婿入り先の恒藤家がなんとなんとラサ工業の創始者と書いてあるのです。
恒藤恭さんの奥さんのお父さん、恒藤規隆さんが明治40年にラサ島(沖大東島)でリン鉱石を発掘、肥料の原料として開発、後のラサ工業を興して事業化したとのことです。今でも沖大東島全体がラサ工業の私有地であるらしい。
ラサ・スケートリンクは、そのはるか後の時代の多角経営の一環だったのでしょう。
恒藤恭さん御自身は法哲学者として学究の人生を全うし、文化功労者として顕彰され、大阪市立大学(新制)の初代学長なども務められています。
大阪とはやはり御縁が深かったのですね。
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2012年2月5日 | コメント/トラックバック(0) |
古本大移動の季節
2月くらいからぼちぼちとささやかれるのが、転勤、転宅、進学によるひとり生活スタートのお話。
そうなると本の引っ越しも始まります。ところがどっこい、本は重いのです。この際、読まなくなった本達は、第二の人生を歩ませてやってはいかがでしょうか。そこで、古本屋の出番です。
池崎書店では、大阪を中心として、近畿一円では、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀で、古本、資料、書画等の買い取り実績がございます。
2月から4月は特別買取強化月間として、即日対応を原則として、お客様のニーズにお応えいたします。
買取直通☎090-3990-1086、
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古本の買取は大阪の池崎書店にお任せください
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2012年2月4日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:買取
昨日も当番
即売会のレジ当番は、普段ゆっくりと御話の出来ない店主の方たちとの触れ合いが期待できる場でもあります。
当然、お客様の応対に神経を注ぐので、話ばかりに耽ることはありませんが、お客様が途切れた時や、昼食時などにする会話は貴重なヒントに富むことがあります。
昨日の当番では久々のコショタン(大阪古書組合の、ゆるキャラ)も目撃できました。子供たちに握手をせがまれたり、大震災への募金箱に、かわいい手からコインを入れていただいたりと、モテモテでした。これを間近く見れる事も、当番の役得です。
天気も持ち直しました。
今日月曜日から、週末土曜日まで開催しています。大阪ビジネスパークへお越しの節は、会場にお立ち寄りください。
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2012年1月23日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:即売会
神風 玉の海 吉田秀和さん
相撲の話題をもう一つ。
最近の相撲放送にあまり興味が無くなった事を書きましたが、以前に比べて、解説者が劣ることも理由の一つです。
NHKの中継は、今でも車の中で聞かないことも無いのですが、概して解説が魅力ない語り口で、興ざめです。唯一聞かせるのが北の富士勝昭さんただ一人というのは寂しい。北の富士さんは取口の分析も要点を伝えて明快、それ以上に、怖いものなしの毒舌が聞かせる芸になってます。つまりユーモアに包めてるということでしょうか。
世評が高いのは舞の海秀平さんの解説ですが、彼が「今の○○関の気持ちは、多分ゆれてるんじゃないかと思いますね」などという様な心理分析もどきを多用するのが、聞いてられません。アナウンサーがそういう発言をするようにリードしている節が見えることもあります。
NHK大相撲中継は、過去に玉ノ海梅吉さん、神風正一さんという二大名解説者を擁していました。二人とも現役時代は関脇が最高位でした。玉ノ海さんはゆっくりした口調で滋味溢れるユーモラスな解説。横綱同士(大関同士だったかも)の明らかな無気力相撲の解説で「何と言うか、まあ、うるわしき友情ですな」と放送した事は有名です。神風さんは、明晰な口調で相撲前に展開を予測、終わってからの分析も無駄なく全体の流れを俯瞰しながら、勝負のカナメを指摘するという、これが解説だという見本のよう。
吉田秀和さんがお二人のファンで、音楽批評の世界で二人に匹敵する人がいるだろうか、ということをエッセーで書かれていたと思います。
吉田さんはご自分の音楽批評の鍛錬になるかと、ある時、取り組みの一番を見終わると、立ち合いから決まり手までを文章で表わすことを試みたと書いておられます。ごく短時間内に次々と生起する動きの中で、勝負に決定的に影響する動きと、それ以外の無駄に見える動き、それらを要領よく時系列に記述することの難しさを吉田さんは語っています。
名人はどの世界でも名人なんですね。
吉田さんの相撲エッセーをお読みになりたければ、白水社版「吉田秀和全集」の第10巻にまとまって収録されています。
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2012年1月19日 | コメント/トラックバック(0) |