髭を

個人全集や文学全集の月報を読むのが好きです。今日も今日とて、斎藤茂吉全集(旧版)の月報をパラパラと拾い読みをしました。新版の月報も面白い記事があるのですが、茂吉に会ったこともない世代の評論家や歌人、研究者の文章がどうしても多くなっています。それに対して旧版の方は茂吉を直接知っている人たちが存命の頃に書かれたものが多く、実にビビッドで面白いです。



画家の木村荘八が、復興東京を文章と絵で伝える仕事で斎藤茂吉と都内を廻ったことがありました。昭和22年のクリスマスイブです。銀座の服部時計店の近くに来ると、そこらにいた米兵の中でもずば抜けて背の高い一人が茂吉の前にやって来て、突然、茂吉の長く白いあごひげをつかんだそうです。茂吉はじっとしていたのですが「How old are you?」と尋ねたそうです。米兵は「twenty」と答えると茂吉は木村に向かって「木村さん、此の男はこれで二十ですとさあ。大きいねえ」と言ったそうです。



これは木村荘八が月報に書いています。



なかなか落ち着いたものです。斎藤茂吉は精神科のお医者さんですから、多分、診察中の患者さんたちから突然、思いもよらぬことをされた経験がいっぱいあったのではないかと思います。



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