希少な遺産

二、三日前、車のラジオをつけると、ブラームスのバイオリン協奏曲の第3楽章の終わりの辺りが聴こえました。

バイオリンは堂々として巨匠風で、熱情的かつ技巧的にもしっかりしていて素晴らしい演奏です。それなのに、伴奏のオーケストラが妙に頼りなく、ひょろひょろして、学生オーケストラかアマチュア・オケみたいな音です。独奏と伴奏の質がアンバランスです。録音も古めかしい響き。

これはいったい、どんな組み合わせの演奏なのか、興味津々でいると、独奏が諏訪根自子さん、オケが東宝交響楽団、1949年の録音とアナウンスされました。

NHKのアーカイヴズに保管されていた音源との事です。諏訪さんは去年三月に亡くなられていたのですね。

諏訪さんはヨーロッパに留学中、ゲッペルスからバイオリンの名器(ストラディバリウス?)を贈られたとかの話があります。ヒトラーやゲッペルスは、自分たちは音楽愛好家である、というイメージをばらまいていましたが、この諏訪さんの逸話には日独伊の言葉が浮かんできます。

戦後は第一線での演奏活動をされなかったようですが、初めて音を聴いた私の感想は、残念、です。

もっと録音を残してほしかった。




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