庄野家新築騒動

大阪出身の文学一家に庄野家があります。

大阪の帝塚山学院の創設者、庄野貞一氏の息子さんに庄野英二、庄野潤三、庄野至さんがおられます。

三男の庄野潤三さんは説明不要の小説家。晩年は、毎年繰り返される静かな日常の日々を、毎年淡々と記した本にファンが多かったと聞きます。

五男の至さんもいつの間にか「屋上の小さな放送局」、「足立さんの古い皮鞄」、「私の思い出ホテル」、「異人さんの讃美歌」等、味のある本を出されています。この人はお兄さんたちに比べて地味ですが、追いかけて読んでみたい人です。この三人の中では、生存されているのも最早この方のみ。

次男の英二さんは父親の後を継がれて帝塚山学院の学長になられ、教育者としても大きな仕事を残されましたが、著作も児童文学を中心に沢山あります。私としては、この人のエッセイとも小説ともつかない本が好きです。

そんな本の一冊、「にぎやかな家」は自宅の新築記録風長編エッセイです。本人はおおらかな御人柄のようですが、設計を依頼した建築士も負けず劣らず豪傑だった。

描き上がった設計図を喜んで見ていて、英二さんは「こんだけの敷地に、こんな建物が建つんかいな」と、ふと思ったそうです。建築士さんに尋ねると「まあ、入りまっしゃろ」との返事です。相手は一級建築士。安心して任せていたそうです。

いざ大工さんが立ち会って杭打ち等を始めて、建築士さんが慌てだしました。何べんも敷地を計ったあげく、図面の脱衣場と台所の一部を斜線で消してゆきます。「これでいけますわ」と平然と言ったそうです。よく聞くと、大体の目測で入るだろうと思っていたらしい。英二さん、あきれましたが、しょうがないなとあきらめました。大人物です。

結局、大事な台所の一部を削られて、調理台が無くなりましたが、奥さんはそれから永年、ガス台の片隅や流しの隅などで大人数の食事支度をこなされていたそうです。奥さんも大人物です。

脱衣場なしで大きくなられた子供さんも大人物です。

続く。


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