吉井勇の添削

自筆物という分野が古書業界にはあります。

著名な作家達の色紙や短冊、軸などが主流ですが、原稿、書簡、日記、手記なども極めて珍重されます。

「かにかくに祇園はこひし寝(ぬ)るときも枕のしたを水のながるる」の絶唱を詠んだ吉井勇が、無名の人の短歌ノートに朱筆を加えたのが手元にあったので目を通してみました。昭和22年、彼が京都府綴喜郡八幡町に仮寓していた時期のものです。

流石に大歌人、語調をととのえたり、言葉の言い回しを変えるだけで、元の歌がスッキリするのが手に取るように判ります。

元の歌  茜なす姫百合あてに匂ふとき香のなくもあれこよなくぞ思ふ

修正後  くれなゐの姫百合あてに匂ふときあはれこよなきものとおもひぬ

元の歌  姫百合のあはれにえむを眺むれば野にこの匂ふ偲ばれてかなし

修正後  姫百合のあはれに咲くを眺めつつ野にある頃の香をば偲びぬ


元の歌が大したことが無いので、添削もやり甲斐が無いみたいですが、出来るだけ元歌の姿を残しつつ調子や響きを整えてやろうという、指導者の気持ちが伝わってくるような朱の入れ方をしています。

全部で150首余りに添削していますので、大変な労力だと思います。短歌や俳句の指導者は忍耐強さが求められますね。

そしてノートの最後に「言葉やや生硬にて辞句に意の通じがたきところあり」と適切に問題点を指摘しつつ「概して叙情の歌に佳作多し」と朱書きして作者を励ましています。

指導者は常にかくありたし。




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