革には脂を
冬の晴天が続くと空気の乾燥が激しくなります。
湿度30%台というような日が続くと指の先が割れてきたりしますね。
古本屋が気をつけないといけないのは革装の本です。乾燥で革表面の薄い層がペリペリと剥落しだすと止まりません。
しまいに皮の内側ももろくなって茶色の汚い粉末と化してゆくのです。
これを避けるにはこまめに手にとって自然に脂分を補給してやるのが一番。
私は大きな声では言えませんが、顔の脂を使うことがあります。特に鼻の周りの脂が良いようで。
新潮社が昭和30年から40年台にかけて出していた堀辰雄全集や小林秀雄全集は背革のしっかりした美しい本ですが、私のこの手入れのために、半世紀以上たった今でも革のしっとりした手触りと光沢、金文字のくっきりとした印字は出版された当時の姿を保っています。
もっともこの方法は、あくまで私個人が読むための本だけで、お客様に販売する革装の本にはワセリンやオイルなどを薄く伸ばして塗布してますので、ご心配なく。
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2018年11月14日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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