荷風日記

永井荷風は長い間日記を書き続け、彼の重要な作品になってますが、流石に晩年は丹念に書く気力が衰えたのか、極めて事務的な書き方になってしまいます。

どこへ行ったか、誰が来たか、そして天気。

彼は独身でしたから、外食が多く、晩年は同じ店にばかり通っています。有楽町のフジアイス、浅草のアリゾナ。そして最晩年は有楽町にも行かなくなり、浅草の大黒屋とアリゾナばかりになります。

彼は死の直前まで比較的に元気でした。

昭和34年3月1日に浅草で食事中に具合が悪くなり、車で帰宅してからほとんど外出しなくなり、2ヶ月後の4月30日に亡くなっているのが発見されます。4月29日「祭日。陰。」と最後の日記に書かれていますから、死は突然だったわけです。

家族がいなかったから話し相手が日記だったのでしょう。今ならブログを書いていたかも。



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