皆が思っている事を言ってくれてます
画家には名文家が多いです。
日本だけに絞っても古いところでは岸田劉生、小出楢重、鏑木清方、中川一政など立派な著作集が沢山出ています。絵の人気はもう一つですが、東山魁夷も落とせないでしょう。新しいところでは池田満寿夫や、赤瀬川原平さんあたりは、本職はどちら?と聞きたくなるほどです。
口が達者な人も多いです。岡本太郎(文章も素晴らしい)や林武、横山大観もよくしゃべったようです。
おとなしそうに見える安田靭彦も座談集が一冊になって出ています。
「座談五十年」-靭彦先生の話ー中央公論美術出版、重田哲三さんが聞き書きしたものです。これがなかなか辛辣な物言いが多くて面白いのです。ちょっと抜きますと、
ーしかし風景はどうも好みません。あまりデッサンを無視するから、デッサンと色とが助け合わない無理が出るでしょう。(梅原龍三郎の絵について)
ーこの間、独逸(ドイツ)へ美術品を持って行った井上さんに聞いた話ですが、ヒットラーが宗達に一番興味を持ったそうです。
ー武者(武者小路実篤)さんのそばには画商が取り巻いていて描くんでしょうが、あんなに同じようなものを描かなくてもすまないもんでしょうか。……それにいろは歌留多のような文句を書いて困ったものです。
ー坂本(坂本繁二郎)さんの、この頃の仕事はよく解りません。能面など、ああ無造作にならべて描くなど、……どう考えても感心しません。
ー(院展の)文部大臣賞などは順番みたいなものですが(略)
ー川端(川端康成)さんは字をよく書きますが、……いやな字ですね、……ああ言うところのある人ですかね。
古本屋として武者小路実篤や川端康成の色紙などお馴染みなのですが、何となく感じてた事を言ってもらったようです。
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2012年6月3日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:美術