声が魅力
滝口順平さんが亡くなられました。私の年代はテレビ世代のハシリで、魅せられたようにかじりついてました。ドラマやアニメなどはアメリカ製が多く、吹き替えの声と相まって、忘れがたいものです。
滝口さんや熊倉一雄さんなどは特に印象深い。お二人とも基本的には低音ですが、微妙な高音成分が混じっていて、それが鼻に抜けたりすると、なんとも不可思議な、ちょっとバタ臭い魅力がありました。低音のオモチャ声とでも言えましょう。
ご両人とも悪役が多かったりしたので、一層私の好みに合ってました。
滝口さんは、ポアロの吹き替えがぴったりでした。「ひょっこりひょうたん島」のライオンもチャーミング。
ご冥福をお祈り申し上げます。
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2011年8月31日 | コメント/トラックバック(0) |
夏から秋は
この頃は、各地で花火大会が盛んです。間もなく、来月は秋祭りの長期ロード。遠くから聞こえてくるお囃子の笛や太鼓の響きは、なんとも日本人的感興を引き起こします。それを素直に絵にしたのが谷内六郎さん。「週刊新潮はあした発売で~す」のアナウンス(子供でしたか)とともにピアノで「赤とんぼ」のメロディーがながれたCMも懐かしい思い出の一こまです。
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2011年8月30日 | コメント/トラックバック(0) |
旺文社文庫 こんなん出ました 最終回
さて、旺文社文庫の最終兵器は、表紙に「別製旺文社文庫」、もしくは「旺文社文庫(別製)」と表示されている旺文社文庫です。奥付には非売品と表示されています。
私が今、目の前にみているのは、「坊っちゃん」と「石川啄木歌集(一握の砂)」の2点です。通常版に比べて、明らかに紙質が異なります。旺文社文庫は少し白い感じの、私の友人に言わせると少し香料を含んだようなよい香りのする、好ましい紙ですが、別製はザラ紙に近い少し厚手の褐色に変色しやすい性質の紙、昭和20年代の岩波文庫のような紙質です。内容も、解説や年譜などを簡略化して編集しなおしていて、わざわざ別製用にアレンジしています。
長年文庫本を扱ってきましたが、この手の旺文社文庫は初めてです。非売品ということは、タダで配った可能性が高いということと思われますが、実態は謎です。
恐るべし、旺文社文庫の奥の深さ、赤尾好夫の深謀遠慮。
旺文社文庫の気に食わぬ点。
新潮文庫にせよ、角川文庫にせよ、岩波文庫、中公文庫にせよ、文庫名になっている出版社名は短縮形ですね。旺文社文庫はなぜ旺文文庫にならなかったのか。ひとりフルネームです。読売ジャイアンツがひとり巨人「軍」と称しているのと何となく似ていませんか。(じっくり思い出してみると、集英社文庫や講談社文庫もフルネーム派ですね。探すとまだあるかも知れない。でも旺文社と巨人軍のダブル・イメージは私から消えません。)
でも旺文社文庫、喜んで買取させていただきます。
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2011年8月30日 | コメント/トラックバック(0) |
旺文社文庫 こんなん出ました。 part3
各社の文庫本には時々一種の変態形が現れます。
有名なところでは、岩波文庫が戦前、教科書版と銘打って、内容は全く同じで、「万葉集」など有名どころを大きなサイズで出しました。
われらが旺文社文庫では、名作を選りすぐって外側をハードカバーにした特装版というのを出しました。今でもちょくちょく出てきます。これがなかなかチャーミングです。
元の文庫より好ましい点がいくつかあります。まず綴じが糸綴じです。元が無線綴じなので強度で勝ります。元では変な標語が書かれた例のアマガエル色の紙の栞が付いてたのが、スピン(栞紐)付に格上げです。
この特装版も実は2種類あり、定価付と定価のないのとです。ややこしいですね。
旺文社文庫の別働隊はこれだけかと思っていたら、なんとなんと、まだ伏兵がいたのですね。あ、あ、続きは次に。
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旺文社文庫 こんなん出ました。part2
おかしいほど肩に力の入った、いかにも学習参考書の大手らしい、不思議な野暮ったい文庫として船出した旺文社文庫が、のちの古本屋を喜ばせるラインナップを続々と出し始めたことは、前回の通り。
内田百閒のほぼ全著作を完結させたあたりがピークだったでしょうか。微妙に旧仮名を残しつつ、読みやすくする工夫。平山三郎さんの懇切丁寧な解説。講談社版全集が高価だった折、歓迎されたのも当然でした。田村義也の装丁も奇抜かつ斬新。後発の福武文庫の百閒シリーズも、それに完全に影響されたというか、百閒=田村カラーから抜けられなかった。いや、むしろ、積極的に利用したふしさえあります。
それ以降は、不思議な科学物を出したり、サラリーマン向けの書下ろし、推理物の多発など、焦点が定まらない感じが続き、いつのまにか旺文社文庫は消えていたのです。
この旺文社文庫に、別働隊がありました。あ、次回に続きます。
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2011年8月28日 | コメント/トラックバック(0) |