つながった

最近、ひょんなことから、九州で長く続いた「九州文学」という同人誌に興味がわき、その中心人物であった原田種夫や火野葦平の本を少し読み始めました。とても純真な人たちで、文学としての質よりも、その人間性の素直な喜びや苦しみに魅せられたのかもしれません。



話は変わりますが、昨日、倉庫の整理をしていて原尞の単行本、文庫本がまとまっていたのが目に入って持ち帰りました。どこかの買取に入っていたのでしょう。全く覚えていません。原さんは亡くなられていますが、九州のご出身でハードボイルドの作風で、元はジャズピアニストという事です。



そのエッセー集「ミステリオーソ」ハヤカワ文庫の巻末に、原さんと同じ高校、同じ九州大学を出た中村哲さんとの対談が載っていました。中村さんは言うまでもなくアフガニスタンで人道的な医師として医療問題、環境問題に取り組み、悲しい事にアフガニスタンで銃弾に倒れられました。



その対談の中で中村哲さんは火野葦平の甥だという事が語られていたのです。びっくりしました。私の周りに散在していた火野葦平の本、原尞の本などが不思議な光を出して丸くつながったような気がしました。



こういうつながり、うれしいですね。



古本 買取 大阪

タグ

フェミニスト

昨日、集英社の日本文学全集の事を書きましたが、その時、例に揚げた写真に「火野葦平・田村泰次郎」集が写っていました。火野葦平は良いのですが、実はこの田村泰次郎という作家は、終戦直後は「肉体の門」などという、かなりセンセーションな作品でブームになった人でしたが、文学全集に収録されたことは無かったのではと思います。



この集英社の全集には他にも「今東光・今日出海」集というのもあります。今東光はご存じの方も多いでしょうが、その弟の今日出海は作家としてより、初代文化庁長官としての名前の方が通っていたと思います。まあ、兄弟で1巻というのも珍しいです。つまりこの全集、人選に新鮮味があるという事ですね。



それと、この全集は女性作家1名に1巻を割ふっているのが目立ちます。野上弥生子、宮本百合子、平林たい子、佐多稲子、林芙美子、岡本かの子、円地文子が堂々の1人1巻です。この人達は他の出版社の全集では、たいてい2、3名で1巻の扱いがほとんどだったのではと思います。



この全集全体を編集した委員にフェミニストが多かったのでしょうか。



古本 買取 泉佐野市

タグ

派手や~





一昔前の日本文学全集です。昭和40年代の半ば頃に出ていました。全集ブームのさなかです。集英社版で、全88巻という中途半端な巻数です。集英社は世界文学全集もほぼ同時に出していましたが、こちらは全66巻。切りの良い数字にしようという気はさらさら無かったみたいですね。



この集英社版が良かった点は値段が安かったことです。定価が290円です。そして配本が2冊づつという事で、早いペースで全集がそろうというのをアピールしていました。そしてもう一つのポイントは通常のサイズよりも一回り小さいという事です。当時はそれほど感じなかったのですが、いま改めて手にすると、確かに小さい。ちょっとかわいいです。



何よりもその箱の色が強烈です。少し抑えてはいますが、真っ赤と言ってよいでしょう。本体は柿色というのでしょうか、やはり赤色系です。文学全集もいろいろと見てきましたが、この色遣いは他社にはありません。世界文学全集は何と緑色の箱、本体です。



集英社の文学全集担当者はある意味、とても斬新だったのですね。例によって倉庫をガサガサとかき回していたら出てきたので懐かしさのあまりお目にかけました。



古本 買取 大阪

タグ

月報ばなし

月報が好きです。月報と言っても、ある種の研究機関、業界団体などの組織が毎月出す、一種の報告書ではなく、昔の文学全集や個人全集が1冊ごとに挟み込んでいた別冊付録みたいな読物の事です。



大抵、文学全集だったらその巻に収録されている作家についての回想や簡単な作品論などが、8頁から16頁くらいにまとめられています。私が月報を好むのは、そんな薄っぺらい中に硬軟取り混ぜた短い読物が詰まっているさまが、松花堂弁当みたいに美味しそうに思えるからです。私は弁当大好きなんです。



本体に挟み込んでいるだけですから、いつの間にか抜け落ちる場合もあるでしょう。全集物などでは、これがそろっているかどうかで、古書価も少し変わります。



昔みたいに本を大切にする風潮があったころは、月報だけを自分で綴じたり、製本屋で本にしてもらったりすることもあったようです。出版社の方で全集完結後にその月報をサービス価格で製本する、なんてこともあったみたいです。



最近、文庫本の世界でこの月報が見直されているようで、昔の個人全集の月報などが講談社の文芸文庫でつぎつぎ文庫化されています。ついこの間、昭和20年代に出された中央公論社版の永井荷風全集の月報が中公文庫で文庫化されました。岩波版の荷風全集は入手がたやすいですが、中央公論社版はちょっとお目にかかれませんから、その月報はなおさら貴重で、文庫になったことを喜ぶ読書家や研究者も多いと思われます。



目の付け所、企画の勝利ですね。



古本 買取 泉佐野市

タグ

持参金

ジェーン・オースティンの「マンスフィールド・パーク」という小説を、BBCがドラマ化したDVDが安かったので買ってきて少しづつ見ています。この人は「高慢と偏見」や「エマ」などの小説で有名で、夏目漱石が激賞していました。



この「マンスフィールド・パーク」という作品は彼女のお得意の(というか、それしか書く能力がなかったのですが)イギリスの田舎の上流階級の恋愛沙汰、結婚沙汰を描いたものです。1700年代の終わりから1800年代初めの時代ですから、身分の違い、持参金の多い少ないなどが重要なテーマとして取り上げられ露骨に話されるので、今から読むと違和感しかありません。



それをかなり忠実にドラマ化しているので、なかなか見ごたえがあります。この手の作品は読んでいるだけではイメージするのが難しいので、映像から入って原作を読むほうが良いようです。原作は集英社の世界文学全集に入っていましたから古本屋で探してみてください。



古本 買取 大阪

タグ

2026年2月19日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:お勧め本 古書 大阪

このページの先頭へ