フェミニスト

昨日、集英社の日本文学全集の事を書きましたが、その時、例に揚げた写真に「火野葦平・田村泰次郎」集が写っていました。火野葦平は良いのですが、実はこの田村泰次郎という作家は、終戦直後は「肉体の門」などという、かなりセンセーションな作品でブームになった人でしたが、文学全集に収録されたことは無かったのではと思います。



この集英社の全集には他にも「今東光・今日出海」集というのもあります。今東光はご存じの方も多いでしょうが、その弟の今日出海は作家としてより、初代文化庁長官としての名前の方が通っていたと思います。まあ、兄弟で1巻というのも珍しいです。つまりこの全集、人選に新鮮味があるという事ですね。



それと、この全集は女性作家1名に1巻を割ふっているのが目立ちます。野上弥生子、宮本百合子、平林たい子、佐多稲子、林芙美子、岡本かの子、円地文子が堂々の1人1巻です。この人達は他の出版社の全集では、たいてい2、3名で1巻の扱いがほとんどだったのではと思います。



この全集全体を編集した委員にフェミニストが多かったのでしょうか。



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派手や~





一昔前の日本文学全集です。昭和40年代の半ば頃に出ていました。全集ブームのさなかです。集英社版で、全88巻という中途半端な巻数です。集英社は世界文学全集もほぼ同時に出していましたが、こちらは全66巻。切りの良い数字にしようという気はさらさら無かったみたいですね。



この集英社版が良かった点は値段が安かったことです。定価が290円です。そして配本が2冊づつという事で、早いペースで全集がそろうというのをアピールしていました。そしてもう一つのポイントは通常のサイズよりも一回り小さいという事です。当時はそれほど感じなかったのですが、いま改めて手にすると、確かに小さい。ちょっとかわいいです。



何よりもその箱の色が強烈です。少し抑えてはいますが、真っ赤と言ってよいでしょう。本体は柿色というのでしょうか、やはり赤色系です。文学全集もいろいろと見てきましたが、この色遣いは他社にはありません。世界文学全集は何と緑色の箱、本体です。



集英社の文学全集担当者はある意味、とても斬新だったのですね。例によって倉庫をガサガサとかき回していたら出てきたので懐かしさのあまりお目にかけました。



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不思議な本



この本、70代以上ぐらいの人なら懐かしいかもしれません。1960~1970年代にかけて河出書房がつるべ打ちに出しまくった全集本の一冊です。日本文学全集第29巻「現代詩歌集」です。それだけなら珍しくもない、100円均一でも売れ残りそうな本ですが、写真をよく見ていただきたいです。



実はこれ革装丁なのです。もちろん普通はクロス装なんですが、なぜかこの本は全革装に金型で金箔文字や模様を押しています。中身は全く通常の本文で奥付にも特別なことは何も書かれていません。昭和44年に出て、定価580円と印刷されています。不思議ですね。普通状態のこの本を持っていた個人が特別に革で装丁しなおしたとは考えにくいです。



新潮社などでは聞くところによると、ある本が10万部以上出たら、特別に革で装丁したその本を記念に著者に贈るそうです。そうした種類なのかもしれませんね。この河出の「現代詩歌集」は詩人の村野四郎が編集しています。河出書房が、よく売れたから特別に作って村野四郎に贈ったものかもしれませんね。



不思議な本です。これだけ書いても、この本を欲しいという人はまあ無いでしょうね。



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2026年3月1日 | コメント/トラックバック(0) |

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月報ばなし

月報が好きです。月報と言っても、ある種の研究機関、業界団体などの組織が毎月出す、一種の報告書ではなく、昔の文学全集や個人全集が1冊ごとに挟み込んでいた別冊付録みたいな読物の事です。



大抵、文学全集だったらその巻に収録されている作家についての回想や簡単な作品論などが、8頁から16頁くらいにまとめられています。私が月報を好むのは、そんな薄っぺらい中に硬軟取り混ぜた短い読物が詰まっているさまが、松花堂弁当みたいに美味しそうに思えるからです。私は弁当大好きなんです。



本体に挟み込んでいるだけですから、いつの間にか抜け落ちる場合もあるでしょう。全集物などでは、これがそろっているかどうかで、古書価も少し変わります。



昔みたいに本を大切にする風潮があったころは、月報だけを自分で綴じたり、製本屋で本にしてもらったりすることもあったようです。出版社の方で全集完結後にその月報をサービス価格で製本する、なんてこともあったみたいです。



最近、文庫本の世界でこの月報が見直されているようで、昔の個人全集の月報などが講談社の文芸文庫でつぎつぎ文庫化されています。ついこの間、昭和20年代に出された中央公論社版の永井荷風全集の月報が中公文庫で文庫化されました。岩波版の荷風全集は入手がたやすいですが、中央公論社版はちょっとお目にかかれませんから、その月報はなおさら貴重で、文庫になったことを喜ぶ読書家や研究者も多いと思われます。



目の付け所、企画の勝利ですね。



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漱石鴎外龍之介

大正5年の今日12月12日に夏目漱石の葬儀が執り行われました。享年49歳ですから、今から考えるとその若さに驚きます。子供は大勢いましたが、まだまだ幼くもちろん孫はいませんでした。なんだか孫の10人もいそうなと思うほどその人物像は老成していました。



葬儀の受付に芥川龍之介が立っていて、その芥川に、葬儀に駆け付けた森鴎外が名刺を渡しています。名優が3人そろったみたいですね。6年後に鴎外が亡くなり、さらにその5年後に芥川も自殺してしまいます。つまりたった11年の間に3人の大作家が亡くなったわけです。



3人が3人とも死後に岩波書店から全集が相次いで(鴎外だけ少し遅れますが)出されます。何かすごい偶然ですね。



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