良いお年をお迎えください
拙ホームページをご覧いただいている皆様、ありがとうございます。
夏から何とか大晦日まで、見よう見まねで頑張って参りました。
来年はもう少し、内容も充実させて行ければと考えています。
来年は辰年。実は年男です。何度目かは極秘事項です。勢いよく昇ってゆくような年になればと思います。
本に関するご相談、何なりとご連絡ください。買取も積極的に取り組んでまいります。ご用命のほどお待ちしております。
来年もよろしくお願い申し上げます。
池崎書店
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2011年12月31日 | コメント/トラックバック(0) |
カラヤン夫人の剣幕 part2
NHKが2度目のベルリン・フィル招聘をし、東京公演の後の全国公演に全日空のチャーター便を利用した時の事です。
仙台へのフライトで、カラヤン夫人が大の飛行機恐怖症で、長谷さんが隣に座って手を握り続けてあげたにもかかわらず「キャー、キャー、怖い!怖い!」の連続で辟易したとのこと。それはまだ良かったのですが、今度は仙台から名古屋へのフライトの時、カラヤン氏、やおら立ち上がって操縦室をノックして、操縦士とひそひそ話して中へ入ってしまうと、カラヤン夫人は長谷さんに「また、操縦をやらせろと言ってるのだわ。大変、ベルリン・フィルが全滅するわ。やめさせてください」とカンカン。
長谷さんが操縦室をのぞくと、カラヤン氏、レシーバーをかぶり、操縦桿を握って子供のように得意満面。機長は、「この人は飛行機に詳しい、大丈夫でしょう。」と取り合ってくれません。
ハイジャック多発以前(1966年)、チャーター便という条件を考えても、のどかというほかないでしょう。
小牧空港への降下が急だったのでカラヤン夫人、「主人が操縦しているわ!ああ、神様!」と恐慌状態。着陸まで悲鳴の上げ続け。カラヤン氏は最後まで操縦室から出てこなかったとのことです。
空港を出ると、カラヤン氏、待機していた三菱の軽飛行機に試乗する段取りを付けていて、長谷氏に「家内には絶対に言うな。所用で別行動といっておけ」とさっさと消えてしまう。夫人をホテルへ送って3時間ほどすると、カラヤン氏は「あれは良い飛行機だ。買いたい。女房には言ってないだろうね」と呑気な事を言いながらホテルへ着き、夫人の部屋をノックする。ドアがバン!と開くとともに、凄い形相の、しかも半裸のカラヤン夫人が猛烈にまくしたてながら、カラヤン氏に何かを投げつける。しかし外れて、横の長谷氏の顔に当った。何か、と長谷氏が拾い上げると、なんとブラジャー。
事情を聞けば、「カラヤン氏が軽飛行機試乗」の映像が夜の7時のテレビ・ニュースに流れたとのこと。それを見た夫人が怒髪天を突いたのです。悪事は露見するのです。
夫人の剣幕に、さすがのカラヤン氏もたじたじだったとのことです。
長谷氏、記念にそのブラジャーをもらえばよかったと書いておられます。
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2011年12月31日 | コメント/トラックバック(0) |
カラヤン夫人の剣幕
N響の事務長を長く務められた長谷恭男さんの「斜めから見たマエストロたち」同成社版を読みましたが、実に面白い本です。20年以上前に出版されてますが、私は初めて見ました。あまり部数は出なかったみたい。しかし、世の中によくある、呼び屋さんの手柄話じみた、アーティストの舞台裏素顔本などとは比較できない内容の濃さがあります。
中心になっている話題は、N響の歴代名誉指揮者のマタチッチ、サヴァリッシュ、スウィトナー、シュタイン、ブロムシュテット達の招聘前からのいきさつや、アッと驚くエピソードなどです。番外にカラヤン、ヴァント、ライトナー、スワロフスキーの知られざる一面が描写されます。その他に、著者の上司で人生の師匠であった、有馬大五郎さんのけた外れに大きな人柄の思い出話。東京フィルハーモニー交響楽団の演奏会パンフレットに執筆したエッセーなど、てらいの無い素直な筆致は飽きさせません。
アーティストに深くかかわった人だけに、こんなことまで書いていいのかと思うほど、あけすけに書かれています。マタチッチのとぼけたユーモア、女性を巡る話は秘話と言えます。
それ以上にカラヤンの話は特に傑作です。彼の飛行機操縦好きは天下周知の事でしたが、私はせいぜいセスナか小型ジェット機程度、横山やすしさんに毛が生えたくらいかなと思ってましたが、とんでもないことをしていました。
以下次号
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2011年12月30日 | コメント/トラックバック(0) |
今年最後の市会
きのう水曜に開かれた金曜クラブの市会が、今年最後の市会になりました、
最後を飾るにふさわしい量と質。多くのお客さんも堪能したと思います。
同人の方にはお疲れ様でした。林立する満杯のカーゴも、振っていれば片付いてゆくものですね。6時頃が最も疲れました。
来年は早々、1月8日(日)から4日間にわたり天神橋三丁目プチ古書即売会が開かれます。
その準備もぼちぼち始めないと。
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2011年12月29日 | コメント/トラックバック(0) |
LP愛好家座右の書 その2
さて、鱒書房版「LP事典」。ほぼ真ん中あたりに奥付があるという変則的な構成です。つまり前半が縦書きの演奏篇で藤田不二さんが担当。後半が横書きで技術篇として高城重躬さんが書いています。
前半の最後には200ページ以上のクラシックLP演奏家名鑑が付いていて重宝です。その部分を含めて演奏篇全体は1200ページ強あります。
内容がこれまた濃い。急速に普及した33回転クラシックLPレコードの、海外盤も含めて、めぼしいものは残らず網羅され論評されています。つまり昭和28年9月までに出た殆んどのLPの、一大俯瞰図ともいえる内容です。
クラシックSPの世界では、隠れもない「銭形平次」の作者、野村胡堂こと野村長一さんが野村あらえびすのペンネームで名著を沢山残してくれていて、いまだに参考書としての価値を失っていません。代表作が「名曲決定盤」で、こちらはSPレコード全体の俯瞰図でしょう。このひともあらゆるSPはすべて聴いたと豪語していましたから、当時の権威は絶大だったと思われます。
この「LP事典」は、そこまでのカリスマ性はありませんが、徹底性という点では、いささかも劣っていないと思います。当時の海外の批評誌などからも引用をして、客観性、資料性の維持に配慮をしているところが貴重です。現代曲など、親しみの薄い曲には、スペースを惜しまず、楽曲解説を前面に出して詳述します。バルトークのヴァイオリン協奏曲では、2段組みで5ページ半にわたる解説です。
後半の技術篇では、高城さんが蘊蓄を傾けてハイファイとは何かを微に入り細をうがち論じます。自作派の為の回路図が満載です。この高城さんという人は、私の記憶では高校の校長まで勤めて、定年後に、大ホール演奏用のスタインウェイのフルコンサート・ピアノを自宅に設置して楽しんだ人と覚えています。名手だったらしい。1部屋ほどの大きさのバックロード・ホーン・スピーカーを設計、愛用した人とも聞いています。音楽再生装置が、まだまだ人間臭い要素を一杯残していた時代の、ある種の名人でしょうね。
この人の技術篇が約500ページ弱。
本当に読み応えがあります。
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2011年12月28日 | コメント/トラックバック(0) |