マンとゲーテ
岩波文庫がトーマス・マンの「ファウストゥス博士」全3冊を復刊するという事で、話題になっています。古書価がかなり高くなっていたから朗報でしょう。と言っても今度のは3冊で3500円近くしますから、やはり高い感じです。新潮社の文学全集の1冊でも出ていましたが、こちらはある古書店さんの値段が4000円です。まあ、今は新刊の文庫本1冊が1000円前後が当たり前になっている時代ですから、復刊を買うのが一番いいかもしれません。すぐに品切れも考えられますから。
当店には在庫しているかいな、と倉庫のドイツ文学の文庫の棚を調べるとありましたが、ビニールコーティングされているので、ちょっと売り物になりにくいです。残念。その近所にゲーテの文庫本が並んでいたので、久しぶりに「イタリア紀行」岩波文庫全3冊、「詩と真実」同全4冊、エッカーマンの「ゲーテとの対話」同全3冊、などを手元に持ってきました。
ゲーテのえらそうな書きぶり、嫌いではありません。自伝の「詩と真実」の冒頭はこうです。「1749年8月28日、正午12点鐘と共に私はマイン河畔のフランクフルトでこの世に生まれた。星位は瑞相を示していた。太陽は処女宮の座に位しその日の最高点に立った。木星と金星は好意を以て、水星も反感を持たずに太陽を眺め、土星と火星は無関心の態度をとっていた。(後略)」
どうです、最高にえらそうでしょう。自分の生まれた時の星の位置を書くなんて、王侯貴族みたいですが、ゲーテは中産階級の生まれで、生涯、爵位などとは無縁でした。しかし王侯貴族との交わりは長く続きましたから、自然とそういう嗜好が身に着いたのでしょう。
上に挙げた3つはゲーテの多くの作品(対話も作品とすると)の中で、最も好ましく重要と私は思っています。と同時に品切れになりやすい作品達でもあります。
一度お手に取ってみてください。
古本 買取 泉佐野市
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シューマン
今日6月8日はシューマンの誕生日です。「トロイメライ」の作曲者です。この人のお父さんはドイツの出版業者で本屋さんでした。
以前、FMのクラシック番組で少しおしゃべりさせていただいた時、何とか古本屋と音楽を結び付けて話題にしようとしたのですけれど、見つけられませんでした。かろうじてこのシューマンのお父さんが浮かんだだけでした。まあシューマン本人は批評家も兼ねていましたから、文章もたくさん書いています。本も出しています。
彼の「音楽と音楽家」は岩波文庫で古くから読まれていました。一度手に取ってみてください。もちろん古本屋ででも構いません。
古本 買取 泉佐野市
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鼓さん
先日書いたフィーバー中の「百年の孤独」ですが、訳者の鼓直さんとは何度か言葉をかわしたことがあります。とても本のお好きな方で、阪神間にお住まいでした。
所属している即売会組織の開催する古本市には必ず来場されていました。大量にお買いになる方で、初日などには来られませんが、落ち着いた日の夕方などにお見えでした。ゆっくりと時間を掛けてすべての棚をご覧になっていたようです。
お買い上げ頂いた本はすべてご自宅にお送りになりました。その伝票で鼓さんだと気づいたのでした。事務的な会話だけでしたが、穏やかな、丁寧な物言いをされる、いつも微笑みを浮かべた方でした。
残念なことに何年か前にお亡くなりになりました。今回の御翻訳書の熱狂的な受け入れられ方を御覧いただきたかったです。
古本 買取 大阪
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1冊15円
戦後すぐの時代に弘文堂書房から「アテネ文庫」というシリーズが発行されました。文庫本で厚さが60~70ページほど。当初の値段が1冊15円でした。戦後のインフレで徐々に定価30円まで上がり、それで落ち着いたようです。
1956年版の総目録では282冊出ています。結局300冊ほどで打ち止めになったと思いますが、内容的にはカチカチで哲学、思想、歴史を中心に文学、美術、音楽なども少しあり、真面目一方のラインナップでした。書き下ろしが主体でしたので新鮮な雰囲気があったようです。
大変売れたみたいで、ひところ古本屋にゴロゴロありましたが、何しろ薄いので目立たない。いつの間にか、見かけなくなりましたが、西田幾多郎の「寸心日記」というのが例外的に分厚く200ページほどあって、人気がありました。これでも定価は70円でしたから、時代を感じますね。
最近の文庫本新刊はちょっと硬い内容で厚さもまあまあだと、3000円を超えてきたりすることも珍しくありません。
えらい時代です。
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無視されて
カフカの没後100年が昨日だったらしいです。どうりで新潮文庫から立て続けに2冊も新刊が出たわけです。
カフカは宮沢賢治と同じように、草稿の形で多くの作品が残されました。残された、という言い方は変かもしれないですね。実は彼自身は草稿のすべてを焼き捨ててくれ、と友人のブロートに依頼して草稿を預けて死んだからです。ブロートはカフカの頼みを無視して、自分で草稿を整理してカフカの作品として発表してしまったのです。
その整理の仕方がカフカの制作意志と少しずれているのではないかという疑問が少しづつ起こり、最近の草稿研究で整理し直されて、今までとは随分と作品の印象が違う翻訳が出てきているわけです。
カフカからすればどちらにせよ、俺の気持ちを無視しやがって、かもしれません。
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