尾崎は面白い

ちょっとした拍子に尾崎紅葉をパラッと読んで、なかなか面白いと思いました。なんだか古い古い人みたいに思いますが、夏目漱石より一つ年下です。漱石は今読んでも古さは感じませんが、尾崎紅葉は文語体の作品が多いので江戸時代かと思えるくらいです。ここらへんが漱石よりも読まれなくなった原因かも。



でも少し辛抱して読むと、実はなかなか斬新で現代的です。お笑い系みたいな側面も実に多い。有名な「金色夜叉」は正月のかるた会の場面から幕があきますが、そこにいたお宮さんの前に富山という金持ち男がさっそうと登場します。指には300円の金剛石(ダイヤモンド)が散りばめられた金指輪が燦然と光っています。



それを見た人たちがそれぞれに言葉を発するのです。



「金剛石!」「うむ、金剛石だ。」「金剛石??」「成程金剛石!」「まあ、金剛石よ!」「那(あれ)が金剛石?」「見給へ、金剛石。」「あら、まあ、金剛石??」「可感(すばらし)い金剛石。」「可恐(おそろし)い光るのね、金剛石。」「三百円の金剛石。」



ここではズラズラと続けて書きましたが、原文では一人一行づつ改行されています。「金剛石」にはことごとく「ダイヤモンド」とフリガナがつけられています。すごい効果ですね。ダイヤモンドの光が眩しいほど感じられます。



と同時に、一人ずつの舞台のセリフだと思うと、ちょっと吉本的でさえあります。つまり滑稽なのです。



読んでみてください。



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