22年と言葉

昨日9月11日、ニューヨークの貿易センタービルのテロ事件から22年が経ちました。22年前の夜、NHKのニュースの生映像でビルの火事と伝えられていたのですが、燃えているビルの後ろのビルに飛行機が突っ込んで来る映像を見て、愕然とした記憶があります。アナウンサーも全く事態が分からずに戸惑っていました。



そして今日まで、事態は根本的には全く解決せずにいます。人間というものは、極限的には通行不能なのか、考えざるを得ません。そんな時、サン・テグジュペリの言葉が目に入りました。「ある人質への手紙」という作品の中にありました。



サン・テグジュペリはパイロットでしたから、かなり危険なところにもでかけています。スペイン内戦当時、アナーキストの国民兵(?)たちが駅で秘密物資の積み込みをしているところに出会って捕らえられます。アジトに連れてゆかれ、分からぬ言葉で尋問されます。彼らの疑いが解けぬので、やがて殺されるだろうと思います。



ふと、近くの兵士がタバコを吸っているのを見て、ほほえみながら煙草がほしいと手真似をすると、兵士もほほえみました。やがてその微笑みは他の兵士にも伝わり、結局、サン・テグジュペリは助かったのです。



彼はそのエッセイの最後に書いています。



「ぼくたちは、言語を超え、階級を超え、党派を超えて、ほほえみのなかで再び結ばれるのだ。或る人間にはその人間のならわしがあり、ぼくにはぼくのならわしがあるが、ぼくたちはそういう姿のままで、同じ教会の信者なのだ」   「ある人質への手紙 母への手紙」サン・テクジュペリ著  みすず書房



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