手形

手形の話です。と言ってもお相撲さんが色紙にバンバン押してゆくあの手形ではなく、商売上の支払い、決済手段としての手形です。私は昔、信用金庫に勤めていた時、当座預金係をしたことがあるので、手形や小切手は毎日触っていました。



手形も小切手もその日の決済分がお昼頃に手形交換所を通じて各支店に戻ってきます。つまりそのお店に当座預金口座を持っているお客さんが支払った手形、小切手がそのお客さんの口座から引き落としのために交換所から返ってくるのです。逆に、お客さんが自分の口座に入金した手形や小切手が相手方の金融機関に回って行っているわけです。



その仲立ちをするのが手形交換所です。最近、その交換所が電子化されていたのを知ってびっくりしました。つまり手形や小切手の映像情報をやり取りするだけになっていたのです。詳しい仕組みは知りませんが、当座係の仕事は減ったでしょうね。



何しろ昔は現物の手形や小切手が、月末など多いときには一日に何百枚と返ってきますから、忙しい。口座番号順に素早く並べて番号順に並べている元帳を引っ張り出して、それについている印鑑票と印鑑照合し、形式が整っているか確認して手打ちの会計機に元帳を挟んで手形小切手の金額を打ち込んで、1枚づつ口座の残高から落としてゆくのです。



たっぷりと口座に残高があれば良いのですが、当座預金は無利息ですから、そんな悠長なことをしているお客さんはいません。当座預金係から「今日は幾ら幾ら回ってまっせー」という電話をかけると、「そんなら普通預金から回しといて」とか「貸付係に言うたあるから」とか「すぐに行きまっさ」とか「ちょっと待って」とか勝手なことを言い並べます。そんなのにまともに付き合ってられませんから、ともかく連絡だけはして、あとはひたすら引き落としに専念するのです。何しろ午後3時までにすべての引き落としを完了しなければなりません。午後3時までに入金されなければ不渡りとして手続きを進めないといけないのです。



電子化によって当座係のこんな悲喜劇は見られなくなっているかもしれませんね。少し寂しいかも。



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