カラヤン夫人の剣幕 part2
NHKが2度目のベルリン・フィル招聘をし、東京公演の後の全国公演に全日空のチャーター便を利用した時の事です。
仙台へのフライトで、カラヤン夫人が大の飛行機恐怖症で、長谷さんが隣に座って手を握り続けてあげたにもかかわらず「キャー、キャー、怖い!怖い!」の連続で辟易したとのこと。それはまだ良かったのですが、今度は仙台から名古屋へのフライトの時、カラヤン氏、やおら立ち上がって操縦室をノックして、操縦士とひそひそ話して中へ入ってしまうと、カラヤン夫人は長谷さんに「また、操縦をやらせろと言ってるのだわ。大変、ベルリン・フィルが全滅するわ。やめさせてください」とカンカン。
長谷さんが操縦室をのぞくと、カラヤン氏、レシーバーをかぶり、操縦桿を握って子供のように得意満面。機長は、「この人は飛行機に詳しい、大丈夫でしょう。」と取り合ってくれません。
ハイジャック多発以前(1966年)、チャーター便という条件を考えても、のどかというほかないでしょう。
小牧空港への降下が急だったのでカラヤン夫人、「主人が操縦しているわ!ああ、神様!」と恐慌状態。着陸まで悲鳴の上げ続け。カラヤン氏は最後まで操縦室から出てこなかったとのことです。
空港を出ると、カラヤン氏、待機していた三菱の軽飛行機に試乗する段取りを付けていて、長谷氏に「家内には絶対に言うな。所用で別行動といっておけ」とさっさと消えてしまう。夫人をホテルへ送って3時間ほどすると、カラヤン氏は「あれは良い飛行機だ。買いたい。女房には言ってないだろうね」と呑気な事を言いながらホテルへ着き、夫人の部屋をノックする。ドアがバン!と開くとともに、凄い形相の、しかも半裸のカラヤン夫人が猛烈にまくしたてながら、カラヤン氏に何かを投げつける。しかし外れて、横の長谷氏の顔に当った。何か、と長谷氏が拾い上げると、なんとブラジャー。
事情を聞けば、「カラヤン氏が軽飛行機試乗」の映像が夜の7時のテレビ・ニュースに流れたとのこと。それを見た夫人が怒髪天を突いたのです。悪事は露見するのです。
夫人の剣幕に、さすがのカラヤン氏もたじたじだったとのことです。
長谷氏、記念にそのブラジャーをもらえばよかったと書いておられます。
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2011年12月31日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |