カラヤン夫人の剣幕
N響の事務長を長く務められた長谷恭男さんの「斜めから見たマエストロたち」同成社版を読みましたが、実に面白い本です。20年以上前に出版されてますが、私は初めて見ました。あまり部数は出なかったみたい。しかし、世の中によくある、呼び屋さんの手柄話じみた、アーティストの舞台裏素顔本などとは比較できない内容の濃さがあります。
中心になっている話題は、N響の歴代名誉指揮者のマタチッチ、サヴァリッシュ、スウィトナー、シュタイン、ブロムシュテット達の招聘前からのいきさつや、アッと驚くエピソードなどです。番外にカラヤン、ヴァント、ライトナー、スワロフスキーの知られざる一面が描写されます。その他に、著者の上司で人生の師匠であった、有馬大五郎さんのけた外れに大きな人柄の思い出話。東京フィルハーモニー交響楽団の演奏会パンフレットに執筆したエッセーなど、てらいの無い素直な筆致は飽きさせません。
アーティストに深くかかわった人だけに、こんなことまで書いていいのかと思うほど、あけすけに書かれています。マタチッチのとぼけたユーモア、女性を巡る話は秘話と言えます。
それ以上にカラヤンの話は特に傑作です。彼の飛行機操縦好きは天下周知の事でしたが、私はせいぜいセスナか小型ジェット機程度、横山やすしさんに毛が生えたくらいかなと思ってましたが、とんでもないことをしていました。
以下次号
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2011年12月30日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |