死後爆上がり
今日はゴッホの誕生日です。1853年生まれですから172歳です。37歳の生涯でしたから死後の栄光が断然長いことになります。そのピークとも思えるのが、1987年の同じ3月30日に安田火災海上保険がゴッホの『ひまわり』を54億円で落札した事でしょう。
当時はバブルの真っ盛り、土地や美術品などが高騰を続けていました。日本には比較的沢山のゴッホ作品が収蔵されていましたが、当時としては抜群の高値だったと思います。それ以後はあまりゴッホの作品がオークションで最高値を付けたなどという事は聞かなくなりました。
かと言って気軽に一枚、という世界ではもちろんありませんが、せめて、生前に10枚くらいでも売れていたらと思います。
古本 買取 泉佐野市
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生誕550年
1475年3月6日にイタリアでミケランジェロが生まれました。生誕550年というわけです。ルネサンスの万能の天才としてはレオナルド・ダ・ヴィンチが有名ですが、ミケランジェロも彫刻家、画家、建築家、詩人と、なかなかの多方面で力を発揮しました。私は画家です、私は彫刻家です、だけでは食べてゆけなかった時代が何でも屋にしたのですね。
作品の規模、大きさなどではミケランジェロはレオナルドを引き離しています。システィナ礼拝堂の大壁画、天井画やサン・ピエトロ大聖堂の巨大なドームなどの圧倒的な迫力はレオナルドにはありません。レオナルドの偉大さは「最後の晩餐」を除いては、肖像画やたくさん書かれたノートなどの、小さい形の中に凝縮されています。
ミケランジェロは彫刻でもダヴィデ像など、巨大な作品が多いです。巨大でも細部は実に繊細に彫り込んでいて、つくづく天才とはすごいものやな、と感心させられます。ですから彼の伝記が映画になった「華麗なる激情」ではミケランジェロをチャールトン・ヘストンが演じていましたが、マッチョすぎてちょっとなあ、と思いました。
生誕550年として称える行事などもあまり聞こえてきませんが、おひざ元で縁の深いヴァチカンは今、法王さんがご病気で、それどころではないのかもしれません。気が早いけれども来るべき生誕600年は盛大に祝うのでしょうね。
古本 買取 池田市
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2025年3月6日 | コメント/トラックバック(0) |
も一つ山藤さん
もう少し山藤さんのことを。
彼のイラストの代表作は週刊朝日に連載されたブラックアングルだと思うのですが、ここでは絵だけでなく、画面のあちらこちらに文章が埋め込まれていて、画文一体になって面白さが倍加しています。
山口瞳さんや林真理子さん、井上ひさしさん、その他大勢の作家たちが100回連載のエッセーを書いて山藤さんが挿絵を担当している本も多いのですが、そこでも本文に負けないほど山藤さんの文章が挿絵に加えられています。これは現代の黄表紙ではないかと思います。
江戸時代の黄表紙も挿絵が大きく書かれ、本文は絵の周りを縁取るように置かれています。絵の説明なども入り、それは滑稽、洒落、うがちなどが主体で、まさしく山藤的世界なのです。
驚嘆すべき才能でした。合掌。
古本 買取 高槻市
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山藤さん
イラストレーターの山藤章二さんが先月末に亡くなられました。鋭い、そして暖かい描線で人物を描き続けられました。手持ちの山藤本を数えると40数冊ありました。彼の描線、造形、文章がとても気に入っていたのでした。
初期のころは影響を受けたベン・シャーン風のささくれだったペンの味が素敵でした。日本の浮世絵の大首絵からもヒントを得ていたと思います。絵とともに彼の文章と書き文字の洒脱さにも感心しました。彼はイラストにはサインと西暦の年号を必ず入れていました。時事性の強い自分のイラストの賞味期間を意識していたのだと思います。
後期になるにつれてそのこだわりも無くなり、絵のタッチも墨絵風の柔らかさが前面に出てきて、もはやクロニクル風のきつい笑いよりも、人間の持つ本来のおかし味を楽しむ作風に変化したのだと思います。サインは朱印に代わり、日付は不要になりました。
山藤さんは和田誠さんと並ぶ昭和の絵師でした。和田さんは下手に真似る人が出てきていますが、山藤さんを真似る人は出てきそうにありません。
古本 買取 京都市
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厄日
今日8月22日は美術品受難の日と言っていいかもしれません。絵画史上もっとも有名な絵と言っていい「モナ・リザ」が1911年8月22日にルーヴル美術館から盗まれたのがわかりました(犯行は前日)。今から考えるとちょっと信じられないことです。常日頃「ルーヴルをぶっ壊せ」と言っていた詩人のアポリネールが逮捕されたり、彼の友人のピカソが取り調べを受けたそうです。
2年後に元ルーヴルの職員だったイタリア人の男が「モナ・リザ」をイタリアの美術館に売りに行って逮捕されました。レオナルドはイタリア人だから取り返したいと思っていたそうです。愛国者だということで、その男はわずか半年の刑だったそうです。売りに行った先が美術館というのもね。堂々と展示できないじゃないですか。これが個人の大富豪の美術愛好家だったら二度と出てこなかったかもしれません。
2004年の同じく8月22日、オスロのムンク美術館からあのムンクの「叫び」が盗まれました。ある意味「モナ・リザ」と並ぶ知名度を誇る作品です。若い人たちはむしろ「叫び」のほうが親しいかもしれません。これも2年後に無事発見されています。
8月22日は美術館は休館にしたほうがいいかもしれませんね。
古本 買取 大阪