寝床で美術

以前、枕元に積み上がっている本達、つまりいつも手近に置いておきたい本のことを書いたと思います。その時、残念に思っていることを書くのを忘れていました。私は絵画や彫刻の写真を寝転んでみるのが大好きなのですが、手頃なサイズの美術全集の良いのがない、ということです。



文章の場合は活字がかなり小さくても、つまり文庫本でも、大きな本で読むのと感想は違わないと思うのですが、美術本はそうは行きません。文庫サイズの美術全集はあるのですが、画面が小さすぎてほとんど意味を成さないのです。かと言って寝床のまわりに大型の美術全集を並べたら万一の場合、命取りになりかねません。



せめて四六判、つまり普通の単行本サイズで印刷の良い美術全集があれば良いのですが、これがなかなか無い。新潮社から「新潮美術文庫」というシリーズがかつて出ていてよく売れたみたいですが、新書版を一回り大きくした程度のサイズで、少し物足りない。横長の絵は、横向きに載っていますから本の向きを変えないといけない、印刷も余白を取りすぎて画面が小さくなってあまり冴えない、と残念なことが多かったです。50冊出ていましたから、かなり珍しい画家も取り上げていて健闘しているのですが集める気にはなりませんでした。



唯一、寝床のまわりの仲間入りしているのが小学館の「世界美術全集」全36巻です。昭和54年前後に出ていたもので、四六判をやや幅広くしたもので片手で持て、なんとか絵画の細部もうかがえるギリギリ。印刷も抑えた色調で好ましい。1巻に60点ほどの作品を載せ、文学者などのエッセー、専門家の解説、年譜などもありで充実しています。



意外と古本で見かけないので、あまり売れなかったのかもしれません。オススメします。



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2023年10月20日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:古書

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