鼓さん

先日書いたフィーバー中の「百年の孤独」ですが、訳者の鼓直さんとは何度か言葉をかわしたことがあります。とても本のお好きな方で、阪神間にお住まいでした。



所属している即売会組織の開催する古本市には必ず来場されていました。大量にお買いになる方で、初日などには来られませんが、落ち着いた日の夕方などにお見えでした。ゆっくりと時間を掛けてすべての棚をご覧になっていたようです。



お買い上げ頂いた本はすべてご自宅にお送りになりました。その伝票で鼓さんだと気づいたのでした。事務的な会話だけでしたが、穏やかな、丁寧な物言いをされる、いつも微笑みを浮かべた方でした。



残念なことに何年か前にお亡くなりになりました。今回の御翻訳書の熱狂的な受け入れられ方を御覧いただきたかったです。



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大砲で学ぶ

1863年の今日、薩摩藩とイギリス海軍の間で戦闘が始まりました。日本史で習った薩英戦争ですね。その前年に横浜の生麦で島津久光の行列を乱したとして、イギリス人数名が切りつけられて1名が死んだ事件がありました。これも習った生麦事件です。



幕府は賠償金を早々と支払いましたが、薩摩藩は拒絶、鹿児島湾にイギリス艦隊がやってきて船を拿捕したりして圧力をかけます。それに対して、薩摩藩が砲台から発泡。英艦隊も応戦。半日足らずで鹿児島市の10分の1が焼け、砲台は壊滅。イギリスの方も艦長達が戦死しました。一つの藩が勝手に戦争を始めるのですから、いかに当時の幕府が弱体化していたががよくわかります。



この戦いで日本の砲術の正確なことが立証されましたが、大砲が古かった。砲身の前から弾を込めるタイプでしたので、砲身の内側に線条がなくしたがって射程が1キロと短い。対してイギリスは最新式のアームストロング砲です。これは砲身の後ろを開けて弾込めするので砲身の中に線条を刻めますから射程が長い。4キロほどです。これでは負けますね。ただ、砲身の中のガス圧が高まって、何発も打つと砲身が破裂したそうです。不良品です。



イギリスはこれにこりて元の前込め式の大砲に戻したそうです。この一戦で薩摩もイギリスもお互いをよく知り合ったようで、のちに同盟関係になります。江戸幕府はフランスと手を組みます。薩摩はやがて改良されたアームストロング砲をイギリスから買って、幕末の上野の彰義隊を攻める時に使って、何発かで大勢を決してしまいます。幕府を応援する側の敗退でした。



薩摩は薩英戦争の時に学んだのですね。



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2024年7月2日 | コメント/トラックバック(0) |

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フィーバー

文学不振が言われ続けて何年になるでしょう。そもそも大学の文学部が作られなくなり、先生も学生も減り、一握りの作家の本だけがバカ売れするような状況が続いています。つまり村上春樹さんの一人勝ち状態が当たり前みたいになっています。



ところが最近、ある文庫本がバカ売れしています。ガルシア・マルケス「百年の孤独」新潮文庫がそれ。マルケスはノーベル文学賞を獲った南米コロンビアの作家です。その殆どの作品は日本で翻訳され、多くは文庫本にもなっています。ところが彼の世界的な出世作と言って良い「百年の孤独」は1972年に翻訳単行本が出たきり、文庫化されずに今まで来たのでした。



それが6月に初めて文庫本になったということで、前評判から沸騰して、出された途端に重版が決まるというフィーバーぶり。



一時的なブームとして消えないようにと祈っています。



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