旺文社文庫 こんなん出ました 最終回

さて、旺文社文庫の最終兵器は、表紙に「別製旺文社文庫」、もしくは「旺文社文庫(別製)」と表示されている旺文社文庫です。奥付には非売品と表示されています。

私が今、目の前にみているのは、「坊っちゃん」と「石川啄木歌集(一握の砂)」の2点です。通常版に比べて、明らかに紙質が異なります。旺文社文庫は少し白い感じの、私の友人に言わせると少し香料を含んだようなよい香りのする、好ましい紙ですが、別製はザラ紙に近い少し厚手の褐色に変色しやすい性質の紙、昭和20年代の岩波文庫のような紙質です。内容も、解説や年譜などを簡略化して編集しなおしていて、わざわざ別製用にアレンジしています。

長年文庫本を扱ってきましたが、この手の旺文社文庫は初めてです。非売品ということは、タダで配った可能性が高いということと思われますが、実態は謎です。

恐るべし、旺文社文庫の奥の深さ、赤尾好夫の深謀遠慮。

旺文社文庫の気に食わぬ点。

新潮文庫にせよ、角川文庫にせよ、岩波文庫、中公文庫にせよ、文庫名になっている出版社名は短縮形ですね。旺文社文庫はなぜ旺文文庫にならなかったのか。ひとりフルネームです。読売ジャイアンツがひとり巨人「軍」と称しているのと何となく似ていませんか。(じっくり思い出してみると、集英社文庫や講談社文庫もフルネーム派ですね。探すとまだあるかも知れない。でも旺文社と巨人軍のダブル・イメージは私から消えません。)

でも旺文社文庫、喜んで買取させていただきます。


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