旺文社文庫 こんなん出ました。part2

おかしいほど肩に力の入った、いかにも学習参考書の大手らしい、不思議な野暮ったい文庫として船出した旺文社文庫が、のちの古本屋を喜ばせるラインナップを続々と出し始めたことは、前回の通り。

内田百閒のほぼ全著作を完結させたあたりがピークだったでしょうか。微妙に旧仮名を残しつつ、読みやすくする工夫。平山三郎さんの懇切丁寧な解説。講談社版全集が高価だった折、歓迎されたのも当然でした。田村義也の装丁も奇抜かつ斬新。後発の福武文庫の百閒シリーズも、それに完全に影響されたというか、百閒=田村カラーから抜けられなかった。いや、むしろ、積極的に利用したふしさえあります。

それ以降は、不思議な科学物を出したり、サラリーマン向けの書下ろし、推理物の多発など、焦点が定まらない感じが続き、いつのまにか旺文社文庫は消えていたのです。

この旺文社文庫に、別働隊がありました。あ、次回に続きます。


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