2列目

蔵書家の人たちは本棚を有効に使うために本を2列に並べることが多いようです。つまり前後2列。後ろの本は見えません。



私達古本屋も倉庫の書棚は2列配置が当たり前になっています。その上に隙間があれば本を横向きに詰め込んだりしているので、後ろの列の本を見ることはとても面倒になり、死蔵になりがちです。2列めの本たちはいつになったら陽の目を見るのか、あてど無い日々を送るのです。



時々は、と言っても数年に一度ですが後ろの本を取り出してやらないと本にも悪いので空気を通しますが、普段目に入ることの無い本がその時、輝いて見える事があります。本が時を得るのです。昔は売れなかった本が、いつの間にか今求められていることがあるのです。



池内紀さんに「二列目の人生」というエッセー集があります。単行本は晶文社、文庫版は集英社文庫です。隠れた異才たち、という副題のとおり、第一線の輝かしい天才たちの影に隠れがちな、地味だがしかし、かけがえのない才能を秘めた人たちのことを二列目と形容して綴った本です。



二列目は、決して貶めていった言葉ではありません。その人のあり方、処し方として前に出なかっただけのことで、第一列目に決して劣る存在でない、とその本は語っています。



書棚の奥の二列目の本を見ていると、ふとそんなことを思いました。



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