嗚呼、 岩城宏之さん
昨晩、NHKのFMで、ベートーヴェンの「熱情」ソナタの最終楽章のそれも終わり近くが流れているのを、ふと聴きました。
実に軽やかで思い入れのない、端正な表現なので、誰の演奏家か知りたくなりました。ピアニストの清水和音さんと女性の方のトークがそれに続き、どうやらルビンシュタインのレコードのようです。
何かの拍子に、清水さんが「岩城さんのエッセーにルビンシュタインのエピソードが面白く書かれていますよ」と言うと女性が「岩城さんて?」と尋ねます。清水さんが慌てたように「あーっと、日本の大指揮者でした」とフォローしていました。
本業の指揮活動は世界的、あれだけ沢山のエッセー集を出し、違いのわかる男としてコマーシャルにも出演していた岩城宏之さんを知らない人が増えてきています。
岩城さんのエッセーは、内田百閒のエッセーがそうであったように、本人が真面目になって書けば書くほど玄妙な面白さ、おかしみがにじみ出てくると言う、得がたい味わいでした。文春文庫から何冊も出ていましたが、今は手に入れにくいかも知れません。
山口百恵の歌唱力を絶賛し、美空ひばりを、D・フィッシャー=ディースカウやM・カラスなどの世紀の大歌手と肩を並べる芸術家と褒めたたえた事は有名です。
亡くなられて6年たちました。エッセー選集など文芸春秋社で出ないでしょうか。売れると思うのですがね。
タグ
2012年4月21日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |