大恩人
気候がかなり暑いほどになり、登山などには絶好の日和が多くなってきました。中高年の登山ブームも続いているようです。
その一方では今年の5月の連休は、各地の山々で痛ましい遭難事故が相次ぎました。
やはり高齢者の遭難が目立ちます。時間的経済的な余裕が山に誘うのでしょうが、余裕があるのですから、準備も入念に計画的に入山しないといけないと思います。
小林秀雄に昭和11年発表の「山」というエッセーがあります。文庫本などに収録されているか知りませんが、最も新しい新潮社版全集では第4巻に収録されています。
小林秀雄が中学3年生の時、友人3人と御嶽山、雲取山から三峰に出ようとして山道に迷い遭難しかかった話です。
山の確認を1つ抜かしたため、順にずれて間違ってゆくところの描写が生々しい。多くはこんな形で迷ってゆくのでしょうね。
不安に駆られながら口が重くなってゆく様子も鮮やかで、彼の作品の中でも異例な簡潔さで引き込まれます。
岩魚釣りの村人に出会わなければ確実に死んでいただろうと感慨深げに振り返っています。
我々はその名前も知らぬ村人のおかげで、「モオツァルト」も「ゴッホの手紙」も「本居宣長」も「考へるヒント」も読めるのです。
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2014年5月14日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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