昔の事典は捨てがたい その2
家庭の主婦向けなので、この「家庭百科大辞典(以下家庭百科と略す)」は家事、料理、健康、などの項目が丁寧です。丁寧すぎることもあります。「アイロン」の項では微に入り細を穿ってアイロンの使用法を説明しますが、最後のアイロン台の説明で「和洋服兼用の極めて便利なホームアイロン台を婦女界代理部で取次いでいる。定価2円50銭。送料支払い。このホームアイロン台は折りたたみが出来て、非常に重宝である」と、急に通販のカタログみたいに変身するのです。この変わり身の速さが良いですね。
そうかと思えば突然「アウフヘーベン」が立項されていてびっくり。説明文も前半は哲学的に解説してるのですが、後半になって「近来マルクス主義の普及と共に、一種の流行語として、この言葉が使はれるやうになった。「おい、そんな恋愛なんかいい加減にアウフヘーベンしろよ」などと。ーこの場合の意味は、早く恋愛を通り越して、もっと高い心境へ到達しろ、といふほどの意味である」なんて説明されると、よし俺もアウフヘーベンしようかな、と乗せられそうなくらい明るく軽い。
「牛太郎」も項目になっています。「俗語-女郎屋の客引き男のこと」と明確に定義されていてあなどれません。「家庭百科」ですよ。編集者に粋人がいたようですね。
続きます。
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2011年10月20日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |