昔の辞典は捨てがたい その3
この「家庭百科」はお気づきのように少し色っぽいのです。
「サイレン・ラヴ」なる項目があります。「正午のサイレン(號笛)を合図に、オフイス勤めの若い男女たちが、ビルヂングの食堂や喫茶店などでささやく恋のこと」と解説しています。モダンな感じが昭和初年代です。
そうかとおもえば「サッカリン」の項では「サッカリンは決して世間で思はれてゐるほど有毒なものではない、飲食物取締規則で菓子やジャムなどに使用することを禁じてゐるのは砂糖の消費税を得ること、砂糖工業の保護(中略)せるための政府の政策によるのである。」と政府批判のようなことを書いて硬骨ぶりも見せているのですが、そのあとに「隠語で、男女間の間の極めて濃厚なことを形容していふ。サッカリンはすてきに甘いから。」と、すぐにデレデレ調に戻るところが面白い。
「サーヴァー」では「英語ーテニス用語。最初に打出す組。又、女学生間の隠語で、愛する人。」などと耳よりの知識を授けてくれます。吉屋信子先生の女学生小説を読むときの参考になりそうです。
「実弾射撃」は「現金を以て相手を虜にし目的を達すること。選挙の時の買収等を指すのに用ひらる。」本来の意味の軍事用語的な解説が一切無いのがすごいと言えます。
続きます。
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2011年10月21日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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