月報こぼれ話
日本の全集に付き物の月報は、暇つぶしに最適の読み物です。楽に書いたエッセイ風が多いのですが、力の入った文章もたまにあります。
岩波の「日本古典文学大系」第46巻の月報に、秋山虔氏が山岸徳平氏が注釈した源氏物語を評した文が掲載されてます。大先輩の業績に対して、大変へりくだったような、賞賛の形で始まりますが、途中から注文を出し始めます。それも大変気を使った表現で。特に、山岸博士が、本文をわかりやすくするために、会話文に「」を付けたことが少し気になるらしい。引用します。
「すなわち、強いていってしまえば間接話法の文章と考えられないこともないのであって、「」のフルな利用が、かえってこうした微妙な文体の性質を置きすてることになりかねないという印象をもつ場合がないでもない。」
どうですか、まわりくねりながら、すごく気を使いながら、「ゆうたった」と言う感じがします。
それにしても学者さんの間の物言いは、デリケートな精神がいるみたいですね。
それが、月報という、さりげない場でのことだけに、事はより一層微妙でもあります。
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2011年10月31日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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