速記者たちの証言
国会中継、特に予算委員会などで目立つ場所に座っていながら、殆んど下を向きっぱなし。10分ごとに筆記した紙をもって入れ替わってゆく人たち。速記者の目から見た国会風景のインタビューをまとめた、「速記者たちの国会秘録」菊地正憲著 新潮新書が、なかなか面白いです。
彼らの目から見た良い人とは、言語明晰で、言い間違いの少ない、ゆっくりと論理的にしゃべる人とのことです。評判がよいのは、意外や意外、大平正芳さんでした。「アー、ウー」は速記しないでよいし、話自体を抜き取れば、完璧に論理的だったらしいです。中曽根康弘さんも女性速記者に圧倒的に人気があります。
早口の田中角栄さんや徳田球一さん、石原慎太郎さんは速記するのに手ごわい難物だったとか。
速記者という独特の視点からの国会観察は、言論の府としての国会の意味を改めて考えさせてくれますが、この速記も国会では段階的に廃止する方向になっているとのことです。120年の歴史が閉じられつつあります。
最後に、先ごろ亡くなった立川談志さんの思い出話。
「あの人は質問の際、『でやんしょ?』なんて江戸弁のような言葉が頻繁に出てくるんですよ。テレビで見るのと同じようにね」
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2011年12月25日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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