日記始め
新年から日記を始めようとされる人が多いです。私に言わせると、それが続かない原因と思います。事大主義は躓き易い。正月は暇だから書けるのです。忙しくなればつらくなります。逆にいえば、忙しいさなかに中に書き始められれば、続くのだと思います。ですから、一月一日から始まる当用日記よりは、日付が無い自由日記のほうが継続に向いてると思います。書きたくない、かけない日もあるわけですから、日付は無い方がよろしい。
いろんな分野の人の日記を読むのは楽しいものです。文学者は総じて長めの日記を書きます。野上弥生子さんの日記は、継続期間がギネス級に長いのですが、毎日の記載量も多い。昭和11年のはじめの頃を拾い読みしました。2.26事件にも言及があります。市井は意外と平静であったようです。
記載が多いのは、子供たちの就職の話題。いずれも学者の卵ですが、関係先にお願いに行ったり、贈り物をしたりと親馬鹿ぶり満載です。そういえば野上弥生子さんには「入学試験お伴の記その他」という教育ママ先取りのエッセー集がありました。
長男のSさんのローマ留学実現のための奔走ぶりがリアルですが、本人の何となく気迫の無いのがお気に召さないらしく、御主人の野上豊一郎博士への不満ともども、日記の中で事細かに綴られています。弥生子さんの杞憂はSさんが後年、ちょっとした事件を起こしてしまい、残念なことに的中するのですが。
ともかく、日記の拾い読みは面白いです。
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2012年1月3日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |