要所に洋書
へたな洒落を言うと、厚生書店さんや杉本梁江堂さんに「またや!」と言われそうですが、部屋の要所に洋書を置くと引き締まる事があります。
ひと昔前の文学全集のたぐいは、背だけは洋書っぽくした装丁が多く、それらは応接室に置かれたりしました。
大部な英語版のブリタニカ百科事典やアメリカーナ百科事典が日本で大量に売れた原因は、月賦販売形式の普及が大きいのですがそれと同時に、セールスに日本語が堪能なハンサムな外人を多用した事と、応接間の普及が大いに関係しているのです。部屋の飾りとしての書籍ですね。
軍隊の整列に似た、統一した渋い色調と、所々に光っている背の金文字。背皮であればさらに豪華に引き立ちます。
最近の市会で、1869年ボストン版、英訳のギゾー「フランスの歴史」全6巻と「イギリスの歴史」全4巻を仕入れました。背皮、金文字。エングレーヴィングや木版の挿絵多数。
ところがこの背皮が問題を引き起こします。始終読んで、手の脂肪がなじめばいつまでも美しい艶を保ちますが、ほったらかしにすると、いつの間にかひび割れが始まり、ついにはポロポロと剥落してしまいます。
それを防ぐためには、ワセリンやベビー・オイルなどを適宜、皮部分に擦り込んでやらねばなりません。さっそく仕入れた本に擦り込んでやりましたが、砂漠に雨が降った感じで、たちまち吸い込んでしまいます。あちらの背皮は強靭かつしなやかですね。ベタベタにしたと思っても束の間です。かなり乾燥していたと見えます。
手数がかかりますが、しばらくは可愛がってやりましょう。
ところで、売れるのかな?
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2012年2月15日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |