全集=番付 その2
大抵の文学全集は、規模にもよりますが、夏目漱石や森鴎外、島崎藤村、永井荷風、谷崎潤一郎辺りに2巻ないし3巻を充てています。
相撲の番付になぞらえて言えば、この人たちが横綱と、大概の編集者は感じているようです。
世界文学全集で言えば、トルストイ、ドストエフスキー、シェイクスピア、スタンダール、マンと言うところでしょうか。
一人1巻は、かなり多くなります。大関クラスですかね。二人で1巻も多い。
出版社がどの時代に力点を置いた編集をするかによっても、巻の割り付けは変わってくるでしょう。
まあ、色々と理屈は付けようがあるのですが、心情的には一人で1巻にしてほしいというのが、作家の正直な気持ちである事は、判らないでもありません。
巻割の予定表を見せられて、自分が単独で1巻でないので、舟橋聖一さんが異議を唱えました。その理屈が、なかなか面白い。
要約すると「自分が昔、岩野泡鳴の文学を再評価してやったので、今、文学的にも認められている。見れば、今度出る文学全集では岩野は一人で1巻である。しかるに私は、二人で1巻の扱いだ。岩野を認めてやった私が岩野よりも扱いが下なのは納得できない。なんとかせよ」ということらしいです。編集者の一人であった中島さんは困ったらしいです。
この波紋が他の作家たちにも及んで、かなりの騒動になりました。
次回へ続く
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2012年2月17日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |