読まぬと大損 モーパッサン その2
旦那は借金を返すための借金、手形の書き換え、役所の後のバイト、帰ってからの筆耕の仕事。
奥さんは小間使いをクビにして何から何まで自分でする。屋根裏に引っ越して、重い水のあげおろしに、薔薇色だった爪を分厚く頑丈にしてゆきます。10年経ってやっと最後の1スーまで返し終えて、奥さん、気持ちの余裕を取り戻して公園をブラつきます。偶然に、首飾りを借りた友達を見かけて声をかけますが、奥さんが苦労のあまり老けたので友達は人違いと思います。
「まあ、なんてお変りになったの!」
「苦労したのです。あなたに借りた首飾りをなくして、その返済に」
「だって返していただきましたわ」
「気付かないのも当然ですわ。そっくりのダイヤの首飾りを見つけて買って、それをお返ししたのだから」
「………!」
「でも最近やっと全額返せたのです」
友達は奥さんの手を握り締めて言いました。
「まあ、どうしましょう!私のはガラスの偽物だったのよ、安物の!」
公園で出会ったのが幸か不幸か、微妙ですね。
外国文学、買取いたします。
タグ
2011年9月25日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
トラックバック&コメント
この投稿のトラックバックURL: