女系

先日ふと、山崎豊子の「女系家族」を手に取りパラパラと拾い読みすると、たちまち止められなくなってしまいました。4代続いて婿養子をとって繫栄してきた船場の木綿問屋の当代主人が死んで、その葬儀の場面から小説は始まります。樒300対、15ケ寺の僧侶の読経をするようにと遺言していました。先に死んだ自分の妻の葬儀と同規模です。婿養子として万事に遠慮して生きてきた男の最後の意地ですね。



この主人に3人の娘がいます。出戻りの権高な長女、大人しそうだが油断ならない次女、こだわらないような感じだが実は強欲な3女と、あまり仲は良くありません。この3人に遺言書が開封されて内容が知らされます。バランスよく分けられているみたいですが、3人それぞれに胸に一物あります。



長女は少ないと思って、踊りの師匠に知恵を借りて立ち回ります。次女はすでに婿養子をとっていますのでお店の経営権は確保したものの、やはり不満です。3女は亡き母の妹である叔母を頼り、叔母は叔母で手なづけようとしています。



この3人の間をすいすいと泳ぎ回るのが遺言執行人の大番頭です。これはこれで大変な白鼠ならぬ黒鼠。これだけでもややこしいのに、そこに大人しかった主人が密かにかこっていた女が登場して3人による陰惨ないじめが始まります。



まあ思いっきり下品な「細雪」という感じですが、読ませてくれました。



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姉と弟

1925年の今日、2月12日、デザイナーの鴨居羊子さんが生まれました。ちょうど生誕100年です。豊中にお生まれになって、高校は桜塚高校を出られています。昔の第1学区ですね。私も同じ学区でしたから懐かしい。女子専門学校を卒業して新関西や読売新聞というようなマスコミで働かれてから独立。



下着に新しい考えを取り入れて下着文化論を提唱。メーカーとして、また、ユニークなエッセイストとしても活躍されました。金髪に染めるなどビジュアル的にもマスコミ受けがし、大変存在感のある人でした。



弟さんが画家として有名な鴨居玲さん。とても優れた画家でした。ダイナミックな姉弟です。



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良い本

昨日、祝賀会で渡された「大阪古書組合百年史」





これはとても良い本です。東京に次ぐ、大古本集積地である大阪の古書組合の歴史が、発足から現在の状況に至るまで、つぶさに語られています。



その資料的な価値は今後必ず、多くの文献に引用利用されることで明らかになることでしょう。



プロの編集者の手を借りずに、すべての原稿作成、編集作業、装丁までを大阪古書組合のメンバーでやり遂げたという事は、驚くべきことです。



一読を強くお勧めします。



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大阪古書組合百年史完成



概要古書をこよなく愛し
古書に憑りつかれた
古本屋たちの苦闘の物語目次第一編 大阪古書組合史
第二編 大阪の古書交換会
第三編 大阪の古書即売会
第四編 大阪の古書目録
第五編 古書談叢
資料編
年表※公費でのご購入は組合加入店にお問い合わせください。
→日本の古本屋へ


大阪府古書籍商業協同組合 創立百周年記念誌大阪古書組合百年史
大阪古書組合百年史編纂委員会 編A5判  746頁
限定1000部  発売日 令和7年2月1日
定価(税込)8,000円→予約限定価格(税込)7,200円
送料 600円


立派な大著が完成いたしました。大阪古書組合が初めて出した組合史です。



お得な割引期間のうちに、ぜひお求めください。直接、大阪古書組合に申し込まれるか、御懇意の古書店にお申し込みください。



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江川さん

1927年の今日、江川卓さんが生まれました。え、うっそー、100歳近いじゃん!という声もあるかもしれませんが、空白の一日のあの江川卓さんではありません。ロシア文学者の江川卓さんです。



「謎とき 「罪と罰」」「謎とき 「カラマーゾフの兄弟」」「謎とき 「白痴」」の三部作が有名です。これらの本が出版されて以後、「謎とき~」という本が沢山出されるようになりました。



江川さんの謎解きは、原作のロシア語の細かい分析から、その底に秘められた意味を紹介する手法でした。例えば「罪と罰」の主人公、ラスコーリニコフという名前をロシア人が読むと「分割」という意味がもっとも強いらしく、手斧で老婆の頭をたたき割るラスコーリニコフの行動が暗示されている。



こんな感じで、日本人にはわからない深い味わい方を提示されました。もちろん、言葉だけでなく、当時の社会状況や、ドストエフスキーの伝記的な事実なども織り混ぜながら、名文でまとめられた素晴らしい著作だと思います。



この江川卓さん、実はペンネームだそうです。ますます謎解きみたいですね。



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