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昨日は、山の本の整理でした。本の山ではありませんよ。山の本。昔はもてはやされていましたが、最近はさっぱりです。登山者の質が変わってしまったようです。昔は求道的な登山者が多かったみたいで、やたら山の本を読むし、書くし、買うしで、古本屋の重要な分野でした。



その時代を懐かしみながら表題を見てゆくと、「山に忘れたパイプ」とか「山のABC」とか「山は満員」とか、なかなかしゃれてます。「山は満員」など、最近の富士山登山を予言していたみたいです。私は登山はあまりしたことがなく、もちろん富士山もはるか遠くから眺めてるだけですが、入山規制前は山頂はまさしく満員だったのですかね。



山頂はある程度広いと思うのですが、厳密に言うと、その中でも高低差はあるのでしょう。一番高いところはどこになるのでしょうか。



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鼓さん

先日書いたフィーバー中の「百年の孤独」ですが、訳者の鼓直さんとは何度か言葉をかわしたことがあります。とても本のお好きな方で、阪神間にお住まいでした。



所属している即売会組織の開催する古本市には必ず来場されていました。大量にお買いになる方で、初日などには来られませんが、落ち着いた日の夕方などにお見えでした。ゆっくりと時間を掛けてすべての棚をご覧になっていたようです。



お買い上げ頂いた本はすべてご自宅にお送りになりました。その伝票で鼓さんだと気づいたのでした。事務的な会話だけでしたが、穏やかな、丁寧な物言いをされる、いつも微笑みを浮かべた方でした。



残念なことに何年か前にお亡くなりになりました。今回の御翻訳書の熱狂的な受け入れられ方を御覧いただきたかったです。



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フィーバー

文学不振が言われ続けて何年になるでしょう。そもそも大学の文学部が作られなくなり、先生も学生も減り、一握りの作家の本だけがバカ売れするような状況が続いています。つまり村上春樹さんの一人勝ち状態が当たり前みたいになっています。



ところが最近、ある文庫本がバカ売れしています。ガルシア・マルケス「百年の孤独」新潮文庫がそれ。マルケスはノーベル文学賞を獲った南米コロンビアの作家です。その殆どの作品は日本で翻訳され、多くは文庫本にもなっています。ところが彼の世界的な出世作と言って良い「百年の孤独」は1972年に翻訳単行本が出たきり、文庫化されずに今まで来たのでした。



それが6月に初めて文庫本になったということで、前評判から沸騰して、出された途端に重版が決まるというフィーバーぶり。



一時的なブームとして消えないようにと祈っています。



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決定的

今日はサン・テグジュペリの誕生日です。「星の王子さま」の作者ですね。フランス人。パイロットで砂漠に不時着したりしたことがあります。第2次大戦で偵察飛行に出かけてそのまま行方不明になってそれっきりです。2003年に海中から機体が発見され戦死が確定しましたが遺体は発見されていません。



そのはず、彼は星になったんだから、と考える人もあるでしょう。それほど彼の「星の王子さま」は広く読まれ、大きな影響を与え続けています。日本でも岩波書店の翻訳出版権が切れてから、色んな人の翻訳が巷に溢れました。中には原題のとおり「小さな王子」と訳した人もいたのですが、「小さな星の王子さま」にしたり、各翻訳者は苦労しています。



やっぱり最初に翻訳した内藤濯の「星の王子さま」が決定的な力を持っているみたいです。



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今さらクリスティ

昔は探偵小説が好きでよく読みました。E・クィーンが最も好きで今でもたまに読み返します。A・クリスティは「アクロイド殺し」だけは熱心に読みましたが、その他の「オリエント急行の殺人」も「ナイルに死す」も映画で見ただけでした。



ところがこの歳になってクリスティの「春にして君を離れ」という作品を読んで、ちょっと感心しました。娘の見舞いに行ったバグダッドから帰る途中で列車の不通で、砂漠の中のレスト・ハウスで3日間の足止めを食った婦人が、過去の色んな場面を脳の中でフラッシュバックしながら、次第に不安と疑心暗鬼に囚われ始めます。



ここら辺り、不思議なサスペンスがあり、どうなるかと思わせます。結果は言わないでおきますが、全編、ほとんど主人公の婦人の独り言みたいな感じですすみ、殺人も何も起こらないのですが、ミステリらしく、伏線も張られていて変形の推理小説みたいです。



早川書房の文庫版です。おすすめします。



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