1冊15円

戦後すぐの時代に弘文堂書房から「アテネ文庫」というシリーズが発行されました。文庫本で厚さが60~70ページほど。当初の値段が1冊15円でした。戦後のインフレで徐々に定価30円まで上がり、それで落ち着いたようです。



1956年版の総目録では282冊出ています。結局300冊ほどで打ち止めになったと思いますが、内容的にはカチカチで哲学、思想、歴史を中心に文学、美術、音楽なども少しあり、真面目一方のラインナップでした。書き下ろしが主体でしたので新鮮な雰囲気があったようです。



大変売れたみたいで、ひところ古本屋にゴロゴロありましたが、何しろ薄いので目立たない。いつの間にか、見かけなくなりましたが、西田幾多郎の「寸心日記」というのが例外的に分厚く200ページほどあって、人気がありました。これでも定価は70円でしたから、時代を感じますね。



最近の文庫本新刊はちょっと硬い内容で厚さもまあまあだと、3000円を超えてきたりすることも珍しくありません。



えらい時代です。



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