今さらクリスティ
昔は探偵小説が好きでよく読みました。E・クィーンが最も好きで今でもたまに読み返します。A・クリスティは「アクロイド殺し」だけは熱心に読みましたが、その他の「オリエント急行の殺人」も「ナイルに死す」も映画で見ただけでした。
ところがこの歳になってクリスティの「春にして君を離れ」という作品を読んで、ちょっと感心しました。娘の見舞いに行ったバグダッドから帰る途中で列車の不通で、砂漠の中のレスト・ハウスで3日間の足止めを食った婦人が、過去の色んな場面を脳の中でフラッシュバックしながら、次第に不安と疑心暗鬼に囚われ始めます。
ここら辺り、不思議なサスペンスがあり、どうなるかと思わせます。結果は言わないでおきますが、全編、ほとんど主人公の婦人の独り言みたいな感じですすみ、殺人も何も起こらないのですが、ミステリらしく、伏線も張られていて変形の推理小説みたいです。
早川書房の文庫版です。おすすめします。
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