由紀夫VS清張

昨日、文学全集の1人1巻か2人1巻かが作家にとっては大問題と書きましたが、もっと重大な問題があります。

そもそも、全集に取り上げてもらえるかどうか、これが根本的な問題です。

中央公論社の「日本の文学」全80巻を巡ってはその悲喜劇もありました。

全集「日本の文学」に松本清張を入れるかどうかで編集委員の三島由紀夫が反対して、結局、収録されなかったのは従来から知られていました。

高見順日記にはそのいきさつが日を追って、かなり詳しく記録されていました。

昭和38年6月4日の編集委員会議で、松本清張は純文学ではないので収録しない、と全会一致で決まったらしいのですが、中央公論社側が困りました。

7月13日に社長と出版部長ががん首揃えて高見順を訪問、松本清張を収録するように再考をお願いしたいと訴えます。先に中央公論社が出した全集「世界の文学」の宣伝でお世話になったから、と言うのがその理由です。文学史的に必要だから等の高尚な事ではないのです。

今はやりの言葉でいえば忖度して欲しいという事でしょう。ついでに今東光、獅子文六、大佛次郎も考慮して欲しいとの事。高見順がどんな返事をしたか書かれていません。

7月17日に再度、編集委員会議があり、席上、中央公論社側からは松本清張その他を是非収録して欲しいとの要望がありました。最も強硬に反対したのが三島由紀夫で大岡昇平も同調。会社側は譲歩して、2人で1冊の形ではどうかと粘るが、三島は収録自体に反対、敢えて収録するなら自分は編集委員はもとより、全集そのものから下りると大見得を切ります。

結局、川端康成が「やっぱりそれでは入れないことにしたらどうです」と発言して松本清張その他は落選と決まったのです。川端は当初は松本清張収録に賛成の立場だったと伝えられています。

川端康成は一見、大人しそうな物静かな顔をしていますが、必要な場で、必要な気配りをした決めの発言ができる、つまり政治的センスを持った人だという事がよくうかがえます。

この結論は後日、松本清張を激怒させ、中央公論社から出す予定だった松本清張全集を文芸春秋社に変えてしまうという結果になりました。

多分、中央公論社からは「日本の文学」に収録予定だと耳打ちされていたのでしょうね。又、中央公論社も、社の要望に編集委員がここまで反対するとは想定外だったに違いありません。

今から思うと、何故こんなにこじれたか不思議ですが、当時はどの出版社の文学全集も売れに売れてドル箱だった事、世間一般に文学尊重の気風があった事などの社会風潮を考えると納得がゆきます。

それにしても、いやはやドロドロ❢


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