静謐な闘志
先日、小学校以来の友人二人と久しぶりに会って、お酒を飲みました。
一人は大阪の音楽ジャーナリストです。もう一人は、現在、福島市在住の医者です。3月11日から彼の放射線との静かな戦いが始まりました。ジャーナリストの友人は5月に直腸癌が見つかり手術、現在は抗がん剤治療を続けています。
二人は全く、それまでと変わらない、平静さを保っています。私からすれば、一番呑気なはずの自分が、少しばかりオロついているのを自覚せざるを得ません。
福島市は一応は平常の生活の姿を回復しつつあるそうです。でも、今まで見たことも触ったこともなかった線量計という機械が、深々と生活の中に入ってきています。誰もが経験した事のない、広島、長崎でもない、チェルノブイリでもない、福島だけの新しい形の放射線被ばく危機。安全基準が本当の意味では、誰にも明確でなく、除染の方法、健康診断の手法そのものにも、いろんな意見が出ざるを得ない状況で、医師である彼は、普通の人以上のいら立ちを感じているはずですが、愉快に軽やかにふるまってくれました。
入院などしたこともなかった健康な音楽ジャーナリストの友人は、ある日突然、癌患者として手術を受けなければならなくなり、その時点では、麻酔が醒めた後はまず、どの曲を聴こうかなど、考えていたようですが、実際は術後の疲労、抗がん剤の副作用でかなり参ったとのことでした。でも、現在は音楽現場にも復帰して、舌鋒鋭く音楽を語ってくれました。
二人の優しさに、感謝したいと思います。
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2011年11月8日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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