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ユゴーの「レ・ミゼラブル」はミュージカルになって爆発的にもてはやされましたが、原作はなかなか読みにくい代物です。特に後半、1832年の民衆の6月暴動で、ジャン・ヴァルジャンが負傷したマリユスを担いで下水道に逃げ込んでから、延々と何ページにもわたってパリの下水道の歴史が語られるのは、筋と関係ないだけに、作中で一番しんどい所でしょう。



今、NHKが日曜夜に放送している連続海外ドラマ版は、筋を適度に省略しているので分かりやすい。6月暴動の場面はCGを駆使して、当時のパリ市内をそれらしく再現していて見どころがありました。



この時代のパリはコレラが蔓延しておよそ18000人が亡くなったということです。暴動のきっかけになったのは、まさにそのコレラに倒れた民衆派のラマルク将軍の葬儀なのです。騒動のさなか、鎮圧に出動した政府兵士に追われて、不潔なパリの不潔な下水道に逃げ込んだジャン・ヴァルジャンとマリユス。 それを追う蛇のように執念深いジャヴェール警部、ひとり残されたかわいそうなコゼット。来週はどうなるのか。



ユゴーはこの小説の売れ行きが気になって出版社に「?」とだけ書いた手紙を送り、出版社は「!」とだけ返事したのは有名な話です。

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