お医者様

近頃、続けさまにお医者さんが難をこうむる事件がありました。痛ましい限りです。



私は幼い時は病弱で、お医者さんとの縁が切れませんでした。肋膜炎で、幼稚園から小学3年位まで往診や通院が絶えず続いたのです。当時は世間一般に、お医者さんへの敬意の念が今と比べるとはるかに強かったように思います。私は自分を診てくれていたお医者さんに恐れに近い感じをを持っていました。



「お医者様」という言い方が普通にあった時代でした。職業に「様」がつくのはお医者さんくらいだったと思います。いわばシュバイツァーがお医者像だったような時代です。



少し変わり始めたのは山崎豊子の「白い巨塔」がベストセラーになった辺りからではなかったでしょうか。それから武見太郎の日本医師会ぐるみの保険医総辞退による政治への圧力、日本初の心臓移植の問題、などなど、医者を始めとする医療界が現実と鋭く切り結ぶ状況が多く報道されるに連れ、大きく分けて医師側と患者側の立ち位置が、同じ平面になってきたように思います。それにしても昨今のような事件が起こるなど、想像もできませんでした。



昔が良かったという意味ではありませんが、本当に大変な難しい時代になったと思います。



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