子供の全集
先日、買取させていただいた中に、講談社の「少年少女世界文学全集」全50冊というセットがありました。
昭和34年から出始めたもので、当時の全集ブームが児童書にも波及したのでしょう。
大切に読まれたようで、挟み込みの月報や宣伝チラシもほぼ残っていました。
月報をパラパラ読むと、「読者の声」コーナーがあり、喜びの言葉やお礼、感想、要望等が住所氏名入りで掲載されています。
「友達の持っている本を貸してもらうため、おべっかを使ったりして本を読んできたが、子供にはそんな思いをさせたくないので、この全集を買います、子供が何かを得てくれるだろうと念じつつ(大意)」と言うような、ほろっとさせてくれる文章や、
「このような優秀な本を出す貴社の手によって、他の粗悪な雑本が無くなることを、切に希望します」みたいな過激な意見まで、色々載っていて興味深い。大真面目な、読書を大切に思う風潮がうかがえます。
執筆者の先生方の写真も載っていて、「赤毛のアン」の村岡花子先生のふくよかなお顔も初めて拝見いたしました。
それでは、ごきげんよう。
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2014年10月5日 | コメント/トラックバック(0) |
出番です
河出書房新社が今秋、新しい「日本文学全集」を出すそうです。
以前出した池澤夏樹さん個人編集の「世界文学全集」が好評だったのでしょう、二匹目の泥鰌狙い。
こちらもやはり池澤さん単独編集で巻数は30巻。古事記から須賀敦子まで収録との事。
全巻揃定価は何と8万円を越えるようです。
あのね、と古本屋は言いたくなります。
その1巻か2巻分のお金で100巻近くの、少し古いですが、オーソドックスな編集の日本文学全集をゲットできるのに‥。
古本屋の出番はここらにも有ると思うのですが。
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2014年6月29日 | コメント/トラックバック(0) |
嬉しい映像
ユーチューブは貴重な映像を見せてくれます。
映画や音楽、演芸、ステージ物などのコンテンツが豊富ですが、文学者の映像や肉声なども提供してくれています。
有名な木登りする芥川龍之介や、志賀直哉のインタビューなどは面白いです。志賀直哉の若々しい受け答えは新鮮でした。
ノーベル賞受賞当時、川端康成を囲んで三島由紀夫、伊藤整の鼎談も興味深いです。やたら雄弁な三島由紀夫にしゃべらせながら、ちらちらと三島の顔を盗み見る川端の大きな目玉がナイーブです。
この三人が後に揃って、新潮社から大きな全集を出しているのが古本屋としてニヤリとする所です。
安部公房のロング・インタビューなど貴重でしょう。あ、この人も新潮社から全集を‥‥。
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2014年6月25日 | コメント/トラックバック(0) |
見届けたい全集
個人全集の売れ行き不振が古本業界では以前から語られています。
特に、漱石、鷗外、茂吉、龍之介、白秋などの、岩波書店から出た全集が人気がありません。
私小説系の作家、尾崎一雄や上林暁、木山捷平、小沼丹達の全集が手堅く古書価を維持しているのと対照的です。
巻数の問題も大きいのかもしれません。
30巻あたりを越えるとスペースをかなり取りますからね。見ているだけで重苦しい。
文芸春秋社から刊行中の丸谷才一全集も全12巻と、実質、選集にしたのは出版社としては賢明な姿勢でしょう。
そんな風潮の中、個人全集としては破格の全40巻(予定)の吉本隆明全集が晶文社から出はじめました。
断簡零墨、書簡までも収めて、完璧を期しているそうです。
そのような謳い文句が踊るさまざまな個人全集が出版各社から相次いで出たのは20年程前までの話。
時計が逆戻りしたような感覚を感じました。
それも晶文社から出るとは意外でした。植草甚一の「スクラップ・ブック」と銘打った軽やかな全集を手がけたイメージと合いません。
本腰を入れて取り組むそうですから、この推移はいろんな意味で、古本屋としても見届けたいと思います。
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2014年3月29日 | コメント/トラックバック(0) |


