木山捷平、読みました
木山捷平さんは根強いファンがいる作家です。短編よし、長編よし、随筆よしの人ですが、私は短編が好きです。
「うけとり」「耳学問」「軽石」などなど、名品が多い。実は「うけとり」は以前読んだつもりだったのですが、今回読み返してみて、唖然としました。別の誰かの作品と勘違いしていたようです。なにしろ、領収書の話かと思って読んだのですから、方角違いもはなはだしい。
「うけとり」とは、農家の子供が学校から帰ってからする、家の用事の事だそうです。方言でしょうが、厳しい響きがあります。縄をなう、落ち葉を集める、水を汲む等の夕食までの作業です。木山さんの小説では、松の落ち葉集めを通じての、幼い恋愛体験とその破たんを淡々と書き記しています。
「軽石」は、廃品を屑屋さんに売って得た3円で買えるものをあちこちさがし歩いて、結局軽石を買って帰る話。
「耳学問」は中国大陸で終戦を迎え、ふとした油断から、ソ連兵にあやうくシベリアに連れさられようとして、間一髪逃れる話。これが一番、スジ的には変化がありますが、それでも最後では、赤ちゃん連れなら絶対に連行されないということで、人の赤ちゃんを少しの間借りて、又しても呑気に出歩くという場面でユーモラスに終わらせています。
市井の人たちの罪のない日常を、淡々と描いて飽きさせません。
講談社の文芸文庫で、かなりまとまって作品集が出ています。
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2012年2月2日 | コメント/トラックバック(0) |
あってるような、あってないような
以前ご紹介した婦女界版「家庭百科大辞典」、時々拾い読みしては笑わせて貰ってます。
先日、何気なく「ピンチ・バッター」という妙な項目が眼にとまり、読んでみたところビックリしました。
「英語 野球用語、味方の危機の際に、補欠選手中から選んで打たせる打者をいふ。ピンチ・ヒッターと混同せぬやうに」
何かおかしい感じです。ピンチ・バッターという言い方からして面妖です。その次の項目に「ピンチ・ヒッター」があります。
「英語 野球用語、危機打者。味方の危機に際して、よく安打を飛ばす頼もしい打者のこと」と、現代からすれば少しズレたような説明をしています。
わざわざ「混同せぬように」と念を押しているところを見ると、この筆者の中では、二つの事柄は全く別物のようです。なるほど、字義通りに考えると、ピンチ・ヒッターとはピンチに打つ人なのですから、実績がすでにあるイメージです。少し前のイチローみたいな感じ?
ピンチ・バッターが実績を積んでレギュラー入りして、頼もしい打者になり、ピンチ・ヒッターとよばれるようになる。筆者の考え方はこのようです。
いろんな辞書を調べましたが、こんな解釈をしている辞書は他にはありません。同時代に出た平凡社の「大辞典」も、「ピンチ・ヒッター」しか立項しておらず、現代の一般的な「代打」の説明と同様でした。
この「家庭百科大辞典」のユニークさが又一つ、証明されたようで少し嬉しいです。
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2012年2月1日 | コメント/トラックバック(0) |


