大宅壮一さん再読

先に直木三十五の事をちょっと書きましたが、大阪出身の物書きと言えば、大宅壮一を読む人も減ってしまったようです。

生前は大変な影響力を保持し、「駅弁大学」や「一億総○○化」「男の顔は履歴書」などという流行語も生み出し、没後は30巻に余る全集も出された割に、求める人が少ない気がします。

この人が沢山書いた、ある時期のある分野を概括した見取り図的な評論(旅行記を含む)は、今読んでも十分面白く、未来予想の類はある射程の中ではかなり的中していると思います。

文章に人を呑んだような開き直りとユーモアがあり、憎めないところが腐っていません。市井の細かいところに目が届いてます。

ちょっと読んだ「インチキ広告裏表」という評論も、広告の歴史をたどりながらその胡散臭さを揶揄し、所々に実例を挙げて実態を紹介すると同時に、その一端に加担している自分も糊塗せずに告白しています。曰く、インチキに用心せよと。

昔はこんな広告があったらしい。

「大金に達する道を知らんとするには、郵券十銭送れ、詳報す」

十銭くらい大したことないと思って送るとハガキが来て、それには東京駅を下車してから日本銀行に行く道順が印刷されていたとのこと。

ユーモラスで愛嬌がある、と大宅さんは褒めています。


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没収!

紀田順一郎さんが本についての本を書き出された時分から、その種類の本が一分野を作るほど沢山出ています。

ちょっと古いですが、向坂逸郎さんも「読書は喜び」を新潮社から出しています。

かなりの愛書家のようですね。

中学時代から古本屋に借金していたと書かれています。谷澤永一さんといい勝負です。

戦前、検挙された際に蔵書も摘発没収されたが、洋書は一冊を除いて全て無事だったとか。

その没収された一冊の洋書は赤色の装丁の、人畜無害なブルジョア経済学の辞書だったので不思議に思って係官に尋ねると、「だって赤い本だったから」と答えが返ってきたそうです。

ちょっといい話でした。



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2013年5月25日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:お勧め本

クラシック音盤の1日

今日は午後一杯、クラシックのLP、SPレコードに思い切り浸る事が出来ました。

あじあ號さんとプレコグ堂さんのお手伝いに参加させていただきましたが、大コレクションと言ってよいほどの質と量でした。カラヤン氏の演奏が1枚も無かったのには、ある種の感慨を深めました。

奥様には何度冷たいお茶を御馳走していただいたでしょう。本当にありがとうございました。

ご主人様のコレクションがあまり散逸せずに伝えられたらいいのにと思いました。

2台の車にぎっしり積み込んで組合へ。

腰が外れかけていたところ、新興会の方に下ろすのを手伝っていただいて大変助かりました。ありがとうございました。

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2013年5月24日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:音楽 LP

「ワッハ上方」リニューアル

大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方)が規模を縮小して、今月25日に再オープンするとのことです。

横山ノック知事の時代に発足し、橋本知事の時代に見直し、移転が問題になり、決着したのが今回のリニューアルです。

移転せず、経費節減という事で、大阪府、吉本興業の痛み分けという形です。

移転に伴う継続感の喪失、資料の散逸などが防げたのは良いのですが、規模縮小によるサービスの低下、機能の不全が起こらないようにしてほしい。

貴重な資料の集積を多くの人にフィードバックできるようにするためには、志ある有能な人材の育成、確保が絶対条件になるでしょう。

お笑いでイメージする都市は?という質問には、「大阪」という答えが自然に返ってくるでしょう。これは考えたら大変なことです。笑いという事を真摯に追求する都市。

その象徴としての役割の一端を「ワッハ上方」は担っているのではないかと思います。


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2013年5月23日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:芸能

ホルンと壺

今年も常滑の陶芸家、片岡誠さんから「片岡誠 陶展」のご案内をいただきました。

片岡さんは1963年に常滑にお生まれになり、名古屋芸術大学音楽学部を出られた方で、ホルンを吹いてこられました。

大阪のタワーレコードにお勤めの時、ひょんなことから知り合いになり、拙宅にもお遊びいただいたりしました。

もっぱらクラシック音楽が接点のお付き合いでしたが、1997年に突然、郷里の常滑市立陶芸研究所にはいられ、陶芸の道に進まれました。

元々ご実家の御祖父さんが陶芸家だったので、隔世遺伝の血が騒いだと見えます。以来、陶芸一筋で、着々と実績を挙げておられます。2010年には念願の窯を設けられ「磊龍窯(らいりゅうがま)」と命名されて、益々ご精進されています。

自然釉、灰釉の壺や酒器等、てらいの無い大きな作風です。

ホームページも作っておられますので、一度ご覧ください。

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2013年5月22日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:美術 音楽

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