続・庄野家新築騒動
さて、庄野英二さんの新しい家に、英二さんは風見鶏を是非とも付けたいと思いました。
ここら辺りが少し変わっていますね。メルヘン好みです。
普通の鶏の風見鶏を考えていたのですが、建築士さんはさっさと自分のアイデアを図面にして、「どうです、よろしいやろ」と鉄屋さんに注文してしまったのです。
それがてっぺんに星を載せ、その下が三日月。三日月と直角に、両親と三人の子供が手をつないでいるブレートという、とてつもないデザイン。
出来上ってくると、三日月の上1メートルに星が載り、子供の大きさが50センチ、家族全体の幅が2メートルほどもあり、それぞれが風の動きでクルクル回るというドデカイもの。
屋根に取り付けていると、近所の人が「幼稚園でっか?」と尋ねてゆきます。
さすがの英二さんもてれくさくて困ったようですが、次の日、早くも風圧で軸が折れ曲がったそうです。大工さんが叩いて直して又取り付けましたが、今度はヘシ折れて庭に落下しました。
落ちたのが庭で良かったと、さっさと庭の垣根と植木の間に押し込んでしまい、いつしか赤サビに覆われてしまったという事です。
何処かホンワカしたエピソードです。
この陽気な、自信満々の、あくまで善意の建築士さんが、大阪の生んだ素晴らしい画家、小出楢重さんの息子さんです。
この「にぎやかな家」は、庄野さんの全集などでは「童話」と銘打たれていますが、そういった区分にとらわれない、大人にも味わえる名作だと思います。講談社文庫にもなっていましたが、今は出てないようです。講談社文芸文庫辺りで復刊されないものでしょうか。
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2013年11月13日 | コメント/トラックバック(0) |
庄野家新築騒動
大阪出身の文学一家に庄野家があります。
大阪の帝塚山学院の創設者、庄野貞一氏の息子さんに庄野英二、庄野潤三、庄野至さんがおられます。
三男の庄野潤三さんは説明不要の小説家。晩年は、毎年繰り返される静かな日常の日々を、毎年淡々と記した本にファンが多かったと聞きます。
五男の至さんもいつの間にか「屋上の小さな放送局」、「足立さんの古い皮鞄」、「私の思い出ホテル」、「異人さんの讃美歌」等、味のある本を出されています。この人はお兄さんたちに比べて地味ですが、追いかけて読んでみたい人です。この三人の中では、生存されているのも最早この方のみ。
次男の英二さんは父親の後を継がれて帝塚山学院の学長になられ、教育者としても大きな仕事を残されましたが、著作も児童文学を中心に沢山あります。私としては、この人のエッセイとも小説ともつかない本が好きです。
そんな本の一冊、「にぎやかな家」は自宅の新築記録風長編エッセイです。本人はおおらかな御人柄のようですが、設計を依頼した建築士も負けず劣らず豪傑だった。
描き上がった設計図を喜んで見ていて、英二さんは「こんだけの敷地に、こんな建物が建つんかいな」と、ふと思ったそうです。建築士さんに尋ねると「まあ、入りまっしゃろ」との返事です。相手は一級建築士。安心して任せていたそうです。
いざ大工さんが立ち会って杭打ち等を始めて、建築士さんが慌てだしました。何べんも敷地を計ったあげく、図面の脱衣場と台所の一部を斜線で消してゆきます。「これでいけますわ」と平然と言ったそうです。よく聞くと、大体の目測で入るだろうと思っていたらしい。英二さん、あきれましたが、しょうがないなとあきらめました。大人物です。
結局、大事な台所の一部を削られて、調理台が無くなりましたが、奥さんはそれから永年、ガス台の片隅や流しの隅などで大人数の食事支度をこなされていたそうです。奥さんも大人物です。
脱衣場なしで大きくなられた子供さんも大人物です。
続く。
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2013年11月12日 | コメント/トラックバック(0) |
はや灯油の匂いが
昨日の疲れも無く、すっきりと組合の新興会市会へ。
先日お手伝いした委託品が出品されていました。
これはと狙っていたクラシックの17cmLPの括りを見落としてしまい、残念でした。
振りが又、ウブな美術関係が大量に出て、賑わいました。
遅くなって帰宅すると、プーンと灯油ストーブの匂いがしました。
冬を実感します。
このぶんだと、来月あたりクリスマスが来そうな気がします。
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2013年11月11日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:市会
命が延びた1日
早朝から夫婦にて大阪組合に行き、組合主催の秋のレクリェーションに参加しました。
観光バスの中では早くもビール焼酎マッコリがどんどん空きます。店主さんの息子さんのちびっこタレントが2人、絶妙の掛け合いでクイズ・タイムを熱演してくれました。
アッと思う間にJR和歌山駅へ。そこから貴志川線に乗って終点の「たま駅長」を拝観して(ガラスケースの中で不貞腐れたように寝ておられました)、またバスで一路みなべ町へ。
紀州南部ロイヤルホテルで凝った日本料理のコースをいただいて、よく温まる温泉につかりました。
帰りたくない雰囲気が漂う中、海南市のおきまり、黒潮市場でお土産物色タイム。鰹の解体ショーがあったらしいのですが残念見れませんでした。
帰りは阪和道もスムースに、無事組合前に、午後6時過ぎに到着。目出度くお開きとなりました。
企画、運営された組合理事さんのお心配りに深く感謝いたします。ありがとうございました。
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2013年11月10日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:市会
お千代さん
島倉千代子さんが亡くなりました。
あの、細いが強く、かつしなやかな歌声は個性的で、ヒット曲の多くは抒情歌謡曲とでも名付けられると思います。奇麗に伸びた高音に細かいビブラートがかかるお千代節は、確かに一世を風靡したと思います。美空ひばりさんの低音の色気と好対照。
私がラジオを通じて、歌が良いものだと思ったのも、彼女の「東京だョおっ母さん」「逢いたいなアあの人に」「からたち日記」を聞いた事が大きいです。
特に「からたち日記」の、ゆったりとしたワルツに乗ったメロディーは、明るさと哀愁が絶妙にブレンドされ、私の大好きな歌です。
ヒットした当時、6歳くらいでしたが、肋膜炎で寝ていましたので、この曲を聞くとその時の熱っぽいような、だるいような気分を鮮明に思い出します。
終戦後の混乱から脱し、何となく世の中が落ち着きを取り戻しつつあった時代の音楽。ちょっと夢みるような幸福感が彼女の持ち味だったと思います。
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2013年11月9日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:音楽