本を探せ
黒岩比佐子さんの遺著「パンとペン」について書きましたが、書中、堺利彦が獄中の時、奥さんに本の差し入れを命じた手紙が何通か引用されています。
大体、左翼の人が入獄するとその奥さんは、獄中の夫の差し入れ要求に振り回されることが多かったみたいです。中野重治の「愛しき者へ」という書簡集や河上肇全集の書簡の巻にはそうした手紙が多く収録されています。書棚のあの辺にあるはずとか、友人に貸しているので取り戻して送れとか、無ければ買ってこいとか、勝手なことを書いています。
時々は洋書も混じるのですから、奥さんの苦労たるや、並大抵ではなかったでしょう。本人は刑務所での一日の作業を終えたら時間が有り余りますから、本を読みたくて仕方がないのはわかりますが、ちょっとは本を探す身にもなればいいのにと思います。本職の我々でも、ご注文をいただいた本の場所を探すのは大変です。
まあ、昔の亭主の関白ぶりがこんなところからもうかがえますね。
古本 買取 泉佐野市