社史とは?

社史という本があります。ちょっとした会社ならば創立25周年、50周年、80周年など、きりがよく縁起がいい年まわりに合わせて出版したりします。まあ、会社の伝記、自叙伝という感じですね。



一時、古書業界でも結構な値段が付いたりしましたが、なにせ重厚長大を絵にかいたような大きさ厚さのものが多く、昨今はあまり人気が無いようです。その会社の社員でさえ読まないで、もらった途端に古本屋に持ってゆくというケースもよくあったとか。



社史を開くと最初にその会社の社長や会長の写真がデーンと載っています。たいてい苦虫をかみつぶしながら微笑んでいるというような不思議な表情のおっさん、おじいさんでげんなりします。あとは創業者の苦労話や、戦前戦中戦後、苦労しながら社屋を建てたり、支店を作ったり、従業員が増えて行ったり、今はこうですというのを多くの写真やグラフなどを交えながら書くというパターンです。



文章は味もそっけもない、事実を列挙するだけみたいなのが多いです。というのも大体が、社内で社史編纂係を委嘱するという辞令が出て、何年以内に出せという命令を受けて、通常業務をこなしながら時々会社の倉庫にもぐりこんで埃まみれの資料を探し出しては時系列に整理し、それを文章化してゆく、という過酷な作業の結果として完成させるわけですから、面白いものになるはずがありません。担当者としたら、社長の御覚えが良くなるくらいのメリットかな。



大会社になると社員だけには任せておけないと、その業界の有名な研究者や大学の教授などに外注して、ほとんどをまかせてしまうという方法もあります。まあこれも歴史的、史料的には正確を期すことにはなるでしょうが読んで面白いものになるという保証はありません。



だから関係者以外は、経営史の研究者だとか系統的に集めている大学しか欲しがりません。しかし、中には例外もあります。出版関係の会社の社史です。これは餅は餅屋でプロですから、出し方も読書家たちの心理をよくわかっています。



講談社の「講談社の歩んだ五十年」などは上下巻合わせて1000ページ近い大冊ですが、昔の社員、編集者の談話をとってきてそれを巧みにつなぎ合わせることによって、一種の裏から見た文学史、文壇史みたいな面白さのある社史にしています。筑摩書房も創立30年を記念して社史を出しましたが小説家の和田芳恵が執筆して味わいがあります。



ちょっと異色なのが新潮社の「新潮社四十年」です。               



この項続く



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