吉田さんと大和

今日1月6日は「戦艦大和ノ最後」の著者、吉田満の誕生日です。1923年生まれですからちょうど生誕100年です。



「戦艦大和ノ最後」はいろんな形で出版され、文庫本にも何度かなっているのでお読みになった人も多いと思います。初めての出撃で沖縄の海に沈んだ戦艦大和に少尉として乗り組み、九死に一生を得て生還。吉川英治に勧められて執筆。小林秀雄が雑誌「創元」に掲載しようとして占領軍のために全文抹消。占領終了後、初めて単行本として世に出て、感銘を与えました。



漢文体の読み下し文のような簡潔な叙述で、沈みゆく巨艦とその乗組員を記録して、叙事詩としての性格も備えた名文です。ただの戦記文学とは明らかに異なり、不朽の命を持つ作品です。



御本人はそののち、サイダー瓶の破裂によって右目を失明、またご自宅が全焼、発病など、いろんな災難に会われますが、死を前提にした大和乗組員時代の経験に比べたら何ということはない、と恬淡とされていたとのこと。



戦中派は、自分の命を問わない教育の結果、一度捨てた命だからと戦後もがむしゃらに働き、肉体酷使の習慣を身に付けたままぽっくりと50代で死ぬ人間が多い、悲しいことだ、大いに長生きしようではないか、と御自分でも書かれていましたが、結局、それが絶筆となり昭和54年に56歳で亡くなられました。日銀上層部の現役としての死でした。



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