一時避難

秋の匂いが空気に混じってくると、ある作家の本に手が伸びます。福永武彦です。彼の著作は何となく清冽な冷気を含む秋から初冬の空気が最もふさわしい気がするのです。



今日も今日とて、枕元に積んでいる彼の全集から適当に一冊引き抜いて読んでみました。彼の詩や、短歌、俳句、そして訳詩を収録した一巻です。彼はボードレールを始めとするフランスの詩人の翻訳をたくさん残していますが、今回目についたのがジェルマン・ヌーヴォーという詩人の「接吻」という訳詩です。



みんな恋する-- 僕は付け足す、



みんな恋するとお前が言ふ時に、



足跡だって道に恋する、



太鼓のバチでも太鼓に恋する。



手の指だって指輪に恋する、



滅茶と苦茶だって会ひたがる、



こんな具合にお互い同士、引き合うペアをナンセンスに列記する詩で、とても洒落ています。少し読み進むと



二巻本も一冊欠ければ、



きっと相手が恋しくなる。



こういうフレーズが出てきます。ここは古本屋のハートをぐっと掴みますね。そうです、古本屋はその欠けた一冊を探しては目出度く二冊セットにしてあげる、パートナーを見つける結婚相談所、一時避難所みたいな場所なんです。



本を積み上げている倉庫の一角に、上中下のセット本の上が欠けているのやら、上下二冊本の上だけとかが乱雑に集められています。なにかの拍子にその上や下だけがひょっこり入ってきて、セットが完成するのを気長に待っているコーナーなのです。全集本が1,2冊欠けていて、その欠本待ちなども含まれます。



古本屋は結構、それらを無意識に覚えていて、偶然その巻を見つけて喜ぶときがあります。商品として完成するのですからそりゃ嬉しい。ところがいざ、欠けていた巻を、相手を待っていた巻と合わせてみると、微妙に色合いが違うのに気がついたりします。むしろそういう場合が多いものです。



片方の背中はこんがりと紙が日焼けして茶色がかっていますが、もう片方は深窓の令嬢みたいに出版された当時の色。これは合わせてみると実にはっきりと違いが際立ちます。



でも古本屋はそんな細かいことにはお構いなしにパックして揃いとして売りに出すのです。読めりゃいいのですから。読めるのが第一義ですから。



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