くるっと

今日は山の文学者、小説家の深田久彌の誕生日です。小説もたくさんありますが、山の方では「日本百名山」が有名ですね。この本片手に、片っ端から登ってやろうという登山愛好家もお大勢おられることでしょう。最近では「日本百低山」というのも流行っているそうです。



この深田さんの奥さんが北畠八穂という童話作家です。奥さんだったと言ったほうが良かったかな。北畠さんが病弱だったので、深田さんが他の御婦人とよからぬことになって、結局離婚となりました。離婚した途端、北畠さんが「夫の小説の方の作品は殆ど私が書いたもの」と暴露して騒ぎになったそうです。



この北畠さんのエッセー集「透った人人」の中にちょっと意外の話がありました。北畠さんが鎌倉に住んでいた時、川端康成と親しくなったそうです。ある時、小林秀雄がやってきてオリンピック映画(おそらく戦前のベルリン大会)を見てきて素晴らしかった話をしたそうです。見に行けないので病床で気分が沈んでいた時に川端がやってきて、彼女を元気づけようと、「オリンピックをやってあげましょう」と言うなり羽織を脱ぐと、畳一畳の上でくるっとトンボを切ったと書いてあるのです。



あの川端が、とびっくりしました。まあ肥満タイプでないので可能でしょうが、歌舞伎の世界でも若手は練習すると言いますから、普通の人は怖くてとっさにはできないでしょう。



川端康成の隠れた一面でした。



古本 買取 大阪

タグ

このページの先頭へ